レッツ連歌(下房桃菴)・5月26日付

(挿絵・FUMI)
◎夢のお告げがどうも気になり

ネクタイをグリーンに替えて出勤し
               (松江)花井 寛子

ガラガラの電車の中で立っている(益田)石川アキオ

用もない兄貴にちょっと電話する(川本)高砂瀬喜美


◎十八歳の選挙始まる

バアちゃんサァ赤飯なんていらねぇヨ
               (松江)佐々木滋子


◎何度も何度も同じこと聞く

愛してるネェ愛してる愛してる (松江)相見 哲雄

どのくらい好きかと両手広げさせ(江津)花田 美昭

はじめてのお使いに行く一人っ子(益田)竹内 良子

夏だから切るという娘(こ)の目に涙
               (出雲)野村たまえ


◎スマホで撮った写真が大賞

バアちゃんの姉さん被り赤だすき(松江)高木 酔子

世界一やっぱりかわいいうちのネコ
               (浜田)松井 鏡子


◎一本足りぬバラの花束

バアちゃんの白寿祝いの贈り物 (松江)持田 高行


◎ためしに埋めてみるサクランボ

特産の由来を語る案内板    (美郷)芦矢 敦子


◎吉良を欺き遊ぶ大石

ひっそりと忘れ形見は嫁入りし (松江)森廣 典子


◎ちょっとうるさいウチの玄関

われ先に五匹のチワワダッシュする
               (松江)水野貴美子

バス待ちのオバさんたちの雨宿り(浜田)放ヒサユキ


◎すぐ顔に出る正直な人

今カノも元カノも来た同窓会  (松江)三島 啓克

粕(かす)漬けをつまみ食いしただけなのに
               (松江)野津 重夫


◎おまけに富士が正面に見え

今日もまた一番風呂の気持ちよさ
             (出雲)はなやのおきな


◎角曲がったら買いに出る芋

女子寮はジャンケンポンで盛り上がり
               (出雲)飯塚猫の子


◎色も模様も違う靴下

右男左女の名演技       (飯南)塩田美代子


◎今に連歌も作れるという

独学でお茶もお花も師範格   (浜田)勝田  艶


◎閉じ込められた昔なつかし

丁稚(でっち)にも役者になってみたい夢
               (益田)石田 三章


◎出雲雑煮に入れる岩のり

堂々と献上品に名を連ね    (益田)吉川 洋子


           ◇

 「夏だから」と言わせて、ほんとのわけは「目に涙」で暗示した、たまえさんの句のすばらしさ! なにを、ほんとはなぜ切るのか、もちろんお分かりですよね。

 敦子さんの句、ありそうなお話ですね。フィクションだからこそこの世界、リアリティが大事なのです!

 そんな秘話、あったのでしょうか、典子さん。私は存じませんが、ま、敵を欺くにしても、ほんとに嫌いなことは、人間、できませんから…。この句もリアリティがあります。

 三章さんの句は、上方落語の「蔵丁稚」。六代目松鶴が、私は好きでした。オチは、「御膳!」「蔵の内でか。…待ちかねた」―。こんなこと言っても、ご存じないかたには意味がない。でも、それがレッツ流。ユーチューブででも、ご自身で探してみてください。おもしろいですよ。

           ◇

 今度は、きょうの入選句に七七の付句。

           ◇

 六月スペシャルの前句は、

  酒は毒にも薬にもなる

だそうです。私はちょっと耳が痛い…。

 こちらの付句は五七五ですね。

              (島根大学名誉教授)

2016年5月26日 無断転載禁止

こども新聞