全仏テニス特派員便り 試合会場の持ち物検査

目当ての試合会場へ向かう道中、荷物検査でせき止められ、ファンの牛歩が続く=パリ
牛歩の先に待つ歓喜

 「待たされるのはいつものこと」。パリ在住で5年連続の全仏観戦という日本人女性が笑った。ローランギャロスの東約700メートル。毎朝、最寄りのこの駅から試合会場に向かう。そして、長蛇の列だ。昨年も驚いたが、今年はずっと長い。

 進むと、分かる。道中2回、持ち物の検査があり、会場ゲートでもう1回。かばんや体に金属探知機が当てられ、かばんを開いて見せることもある。

 開幕前夜から続いた雨は上がった。日なたを歩くと汗ばむ陽気だが、冷たくさわやかな風が吹く中、牛歩の一員となって思う。昨年11月のパリ市内のテロを受け、皆「安全が一番」と知っている。しかも、この先は「お楽しみ」が待っている。

 時間が気になって落ち着かない、こちらの心中を見透かし、女性は笑って諭したのだ。午前11時の第1試合開始を控え、はやる気持ちが収まった。

 待たされた分、押し込められたワクワク感は強くなって、ゲートの向こうであふれている。浮き立った空気は、スタジアムに充満し、錦織圭選手を筆頭とした、テニスの楽しさを体現するプレーで感嘆、歓喜となってはじける。

2016年5月27日 無断転載禁止

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