アキのKEIルポ2016 厳しい頂点への道

因縁の相手に敗れ痛感

 幼少期から“神童”として知られたリシャール・ガスケは、錦織との因縁を感じさせる選手だ。初対戦は8年前のジャパン・オープン。敗れた錦織が「以前から知るすごい選手なので、リスペクトし過ぎてしてしまった」と言えば、ガスケは「彼はまだ18歳。もう少し待ってあげなよ」と過熱する報道陣をいさめた。

 その初対戦から今年に至るまで、錦織はガスケに6連敗。そのうち2013年と14年の対戦は、いずれも「勝てばトップ10入り」という一戦であった。登竜門の門番たるガスケに錦織が敗れるたび、やはりトップ10とは特別な領域なのだと、痛感させられてきたものだ。

 あんなに固いと思われたトップ10の扉を、後に錦織はこじ開けて、以降はその領域を定位置としているのはご存じの通り。今年はガスケにも連勝した。

 だが、最も勝ちたかった全仏での対戦では、観客と天気をも味方につけたガスケに敗れる。意外にも、ガスケは13回目の全仏にて、初めてベスト8に進出した。

 一体誰が錦織に「いつ四大大会で優勝できる?」など問えるだろう。彼が身を置くのは、神童が20年かけても頂点にたどり着けぬ戦場だ。そんな厳しい現実をも、今回ガスケは、改めて教えてくれたように思う。

 (フリーライター・内田暁)

2016年5月31日 無断転載禁止