暫定2車線の弊害 第6部 提言(2)料金下げと分離帯設置を

清水 草一氏
 モータージャーナリスト 清水 草一氏

 -暫定2車線(片側1車線)の高速道路は海外にも存在するのか。

 「取材で多くの世界の高速道路を走ってきたが、本当に珍しい。クロアチアの地方で上下線を白線だけで分離した道路と、米フロリダ州の観光道路などわずかだ。『暫定的に2車線を先に通す』という考え方は日本だけだろう」


 -なぜ日本では暫定2車線が広がったのか。

 「交通量が少ないという一点に尽きる。少ない理由の背景には、世界で最も高い部類に入る料金水準がある。世界的に見れば多くの国の高速道路は無料だ。特に地方は(都市と地方の)格差を埋めるため、無料になっている」


 -高速道路の料金体系はどうあるべきか。

 「都市部の高速道路は一般道より早く到着できるので、料金を払ってでも使う価値がある。例えば東名高速道路は一般道と比較して3分の1の所要時間で済む。しかし、地方は高い料金を支払っても時間短縮効果はなく『高いから使わない』という事態が発生している。使わないから暫定2車線のままというのは、まさに負のスパイラルだ。格差是正があっていい」


 -具体的にはどのような改革が必要なのか。

 「暫定2車線区間は無料にするか、従来料金の3割ほどにすればいい。暫定2車線区間でドライバーが支払う高速料金は国内全体で見れば少なく、財源は各高速道路会社が捻出できる範囲だ。自動料金収受システム(ETC)設置車両を対象にしたマイレージサービス(事前登録で料金を割り引くサービス)を廃止すれば、十分に穴埋めできる」


 -暫定2車線の安全面での課題は。

 「対向車線にはみ出さないような構造物を早急に中央分離帯に設置する必要がある。道路整備の指針となる道路構造令で幅員が足りず、中央分離帯が置けないというのは役人の寝言に過ぎない。構造令より人の命が大事なはずだ」


 -財源は限られている。

 「道路財源は都市と地方でバランス良く使わないといけないが、実態は違う。都市部の東名高速道路や首都高速道路では近年、渋滞解消のため驚異的なスピードで車線を増設している。かつて着手まで10~15年かかっていた工事が、今は1年以内で実現している。一方で地方は全く進歩がなく、置き去りにされている。地方の利用者は、もっと大きな声を上げるべきだ」


 -地方の高速道路の4車線化をどう考える。

 「確かに安全になるだろうが、現実的にはコストがかかり過ぎる。少ない費用で中央分離帯を設置して安全性を増し、高速料金を下げて利用価値を高めるのが、利用者の満足度と安全性を両立する最もいい落としどころではないか」


 しみず・そういち 慶応大を経て1983年、集英社に入社。週刊誌の自動車記事の担当となり、国内A級ライセンスを取得してレースに出場。93年に独立し、自動車専門誌に執筆する。「この高速はいらない。高速道路構造改革私案」「高速道路の謎」などの著書がある。国内外の高速道路を走り、提言を続ける。東京都出身。54歳。

2016年6月7日 無断転載禁止