暫定2車線の弊害 第6部 提言(3)4車線化実現責務果たす

自民党ITS推進・道路調査会長 山本 有二氏
自民党ITS推進・道路調査会長 山本 有二氏

 -高速道路が果たす役割は。

 「まさに命の道だ。(交通インフラが完全でない)山陰両県や私の地元の高知県では、重大事故や疾患で救命できる可能性が高まる。私の知り合いだけで、少なくとも10人以上が高速道路が整備されたおかげで一命を取り留めた」


 -暫定2車線区間(片側1車線)での事故が後を絶たない。

 「4車線以上の高速道路と比べると、暫定2車線の死亡事故率は約2倍だ。財源不足を理由に、重大事故に目をつむっていることを意味しており、不作為による政治の罪になる可能性は十分ある」


 -具体的な対策はあるのか。

 「反対車線にはみ出さない仕組みが必要だ。韓国では、有事の際に高速道路で飛行機を利用するため、簡単に移動できるコンクリートで道路を仕切っていた。ゴム製の簡易ポールを採用している日本では、100メートル~1キロ間隔でコンクリートブロックを置くだけでも、ドライバーに注意を促すことができる」


 -山陰両県でも4車線化を求める声は多い。

 「地震や津波被害が起こりうる場所は4車線道路を造るべきだ。(国が高速道路の事業化を判断する指標とする「B/C(ビーバイシー)」は)単純な算式で、大きな誤りを招いてしまう。山陰両県は長い海岸線があり、他国から上陸される恐れがある。いざという時の戦車輸送など防衛面からも4車線化は必要ではないか」


 -道路関係予算が減る中で実現性に疑問がある。

 「今の日本は一般会計を税収だけで賄いきれず、歳入の約3~4割を赤字国債に頼っている。再生産できない赤字国債と、資産が残る建設国債が同じ借金としてくくられていることが問題だ。使途を明確にするなど、赤字国債との違いを明確にすれば、財源確保は可能になる」

 「四国4県の高速道路で現在、暫定2車線または未完成の高速道路を全て4車線にした場合にかかる費用は5千億円以内だ。山陰両県での費用も四国とそれほど変わらないだろう。これに対し、首都圏で建設中の圏央道や外環道は1キロ当たり1千億円かかるところもあり、東京五輪までに完成する。その後の予算をわれわれ地方が期待しても良いのではないか」


 -今後、どう安全対策を進めるのか。

 「暫定2車線区間の割合は日本が全体の3割近いのに対し、韓国は5・2%、米国が5・1%で、ドイツ(0・7%)と英国(0・1%)はほぼゼロに近い。これだけ暫定2車線を『高速道路』と位置付けているのは日本だけだ。危険な道路を解消するのが道路調査会長としての責任だと思っている」


 やまもと・ゆうじ 早稲田大卒。弁護士、高知県議を経て、1990年2月の衆院選で初当選し、現在9期目。自治政務次官、党建設部会長、衆院経済産業委員長、同法務委員長、財務副大臣、金融・再チャレンジ担当相、衆院予算委員長などを歴任。党農林水産業・地域の活力創造本部長、党税制調査会副会長も務める。衆院高知2区。64歳。

2016年6月8日 無断転載禁止