論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(42)


【訳(やく)】

 先生(孔子(こうし))が言われた。言葉というものは、相手にその意味を正しく伝えることが大事なのだ。


相手の目を見て気持ちを考え話そう


 「もし言葉がなかったら」ということを考えたことがありますか?

 おそらく、人類の文明や文化・伝統(でんとう)はありえません。そして、国も出来なかったでしょう。そこでは、何が想像(そうぞう)できますか?


 ◆伝える力◆

 「言葉は伝わればよい。だから、話は短い方がよい」という割(わ)り切(き)った考え方があります。すなわち、言葉は情報(じょうほう)を伝える単なる道具の一つにすぎないということです。電話やメールなど、まさにその通りです。

 ところが、多くの場合、言葉は話す人の性格(せいかく)や感情(かんじょう)を含(ふく)むものです。だから、話し方でその人の気持ちや考え方が分かります。たとえば、相手の気持ちを考えながら話す人がいます。この場合、気持ちが伝わり、会話が楽しくなります。逆(ぎゃく)に、相手の気持ちなど考えず、一方的に自分の言いたいことを話されると、疲(つか)れてしまいます。そして、内容(ないよう)は伝わりません。

 また、「話す人」・「聞く人」それぞれ違(ちが)うことを考えていることがよくあります。この場合、話がかみ合いません。いわゆる、皆(みな)さんが最も嫌(きら)う「決めつけ」とか「偏見(へんけん)」の態度(たいど)です。

 ところで、もう一つの伝える力として、昔から「目は口ほどにものを言う」といわれます。顔をそむけた会話やあいさつでは伝わりません。


 ◆聞いて学ぶ◆

 孔子は弟子(でし)の教養の程度(ていど)や、性格によって教え方を違えました。ある人には、「一言(ひとこと)で分からないのなら教えても仕方がない」とさえ、言っています。先生の言葉が理解(りかい)されなかったり、間違って伝わることもあったのでしょう。だから、弟子たちは先生の言葉を真剣(しんけん)に学ぼうとしたのです。

 この時代は先生の話をただ聞いて全部覚えるという勉強でした。メモなどとりません。「やる気」と「根気」を持って集中していないと、理解できません。今の勉強とは少し違います。

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師(こうし)・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2016年6月8日 無断転載禁止

こども新聞