輝(き)らりキッズ 伝統芸能「能楽」に夢中

扇子を手に、真剣なまなざしで舞う石倉要君=松江市白潟本町、市民活動センター
8月、岡山(おかやま) 舞(まい)と笛(ふえ)を発表

 迫力(はくりょく)ある演技(えんぎ)目指し練習

   石倉 要(いしくら かなめ)君(松江・八雲小6年)


 そのごとくに和上臈(わじょうろう)も-。独特(どくとく)な節回しで、耳慣(な)れない「謡(うたい)」が響(ひび)きます。謡と舞(まい)を中心とする音楽劇(げき)「能楽(のうがく)」に夢中(むちゅう)になり、毎日練習に励(はげ)むのは、八雲(やくも)小6年、石倉要(いしくらかなめ)君(11)=松江(まつえ)市八雲町西岩坂=です。「能楽の魅力(みりょく)は、日本の文化の始まりを学べるところ」と話し、熱心に取り組んでいます。

 石倉君が最初に能楽に触(ふ)れたのは、小学3年のときでした。松江市内であった能楽を体験するワークショップに参加し、初めて舞を見て「おもしろそう。ぼくもやってみたい」と思いました。ワークショップがきっかけで、小学3年から笛を、小学4年から舞を習い始めました。

 能楽は、室町(むろまち)時代に観阿弥(かんあみ)と世阿弥(ぜあみ)によって作り上げられ、今に伝わる日本の伝統芸能(でんとうげいのう)です。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形(むけい)文化遺産(いさん)にも登録されています。

槻宅聡さん(右)から指導を受ける石倉要君=松江市白潟本町、市民活動センター
 石倉君は、8月21日に岡山後楽園(おかやまこうらくえん)(岡山市北区)の能楽堂で、仕舞(しまい)(面(おもて)をつけずに演じる見せ場の舞)と笛を発表するため、特訓の日々を過(す)ごしています。月に一度、2時間半の個人(こじん)レッスンに加え、毎日自宅(じたく)で練習に励みます。演目(えんもく)は、牛若(うしわか)を前に大天狗(おおてんぐ)が舞う「鞍馬(くらま)天狗」と、笛を演奏(えんそう)する「岩船(いわふね)」です。

 中でも、シテ(主役)の大天狗として仕舞を披露(ひろう)する「鞍馬天狗」のけいこには熱が入ります。松江市白潟本町(しらかたほんまち)の市民活動センターでは、師匠(ししょう)である観世流(かんぜりゅう)シテ方(かた)の久保信一朗(くぼしんいちろう)さん(48)=神戸(こうべ)市中央区在住(ざいじゅう)=から「目線は行く先をまっすぐ見て」「もっとどうどうとした身ぶりで」と、厳(きび)しい指導(しどう)が続きます。

 石倉君は真剣(しんけん)な顔つきで、扇子(せんす)を手に、一つ一つの動作を学びます。踊(おど)りを覚えるだけでなく、仕舞の中で、大天狗の感情(かんじょう)を表現(ひょうげん)しなければいけません。久保さんは「表現力は簡単(かんたん)に身につかない。厳しいけいこで感性(かんせい)を磨(みが)いてほしい」と話し、石倉君も「牛若を意識(いしき)した演技(えんぎ)を目指す」と応(こた)えます。

 笛のけいこは、森田流笛方の槻宅聡(つきたくさとし)さん(54)=東京都世田谷(せたがや)区在住=から学びます。音を出すのが難(むずか)しく、習い始めて3カ月は出ませんでしたが、今では安定した音が出るようになりました。槻宅さんは「心配してない。本番は伸(の)び伸びと演奏すれば大丈夫(だいじょうぶ)」と、期待を寄(よ)せます。

 本番に備(そな)えて、東京や神戸で能楽を鑑賞(かんしょう)しました。「迫力(はくりょく)ある演技に圧倒(あっとう)された。あんな演技ができるようになりたい」と石倉君。今日も練習に打ち込(こ)みます。


≪プロフィル≫

【好きな教科】算数、国語、理科

【好きな食べ物】ヒラマサ

【趣味(しゅみ)】お城(しろ)めぐり

【好きな城】彦根城(ひこねじょう)

【好きな歴史上の人物】世阿弥

2016年6月15日 無断転載禁止

こども新聞