論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(43)


【訳(やく)】

 私(孔子(こうし))は先人(せんじん)の教えを受け継(つ)いで言っているだけで、自分が新しい教えを作ったのではない。古(いにしえ)からある正しい道を好み、そうありたいと心から信じているだけなのだ。


過去を正しく知ることがだいじ


 昔から、優(すぐ)れた人物ほど、自分のことを強く主張(しゅちょう)したり、自慢(じまん)したりしないようです。「自分をひけらかす」ということは、それだけで人の信頼(しんらい)・信用がなくなります。


 ◆述(の)べて作らず◆

 今は「自分だけのオリジナル(独創(どくそう))」という言葉がもてはやされています。目新(めあたら)しさがないと、人から注目を集められない。個性(こせい)がないとつまらないということでしょう。このような風潮(ふうちょう)を孔子が聞いたら、何と言うでしょうか?

 論語(ろんご)の中に「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る(温故知新(おんこちしん))」という章句(しょうく)がありました。新しい考えというものは、「昔から考えられていたことの上に積み上げられたもの」ということでした。昔から、偉人(いじん)といわれた人はほとんど、以前の資料(しりょう)を調べたり、自分の失敗や経験(けいけん)をもとにしたりして、新しいことにチャレンジしています。けっして、その場の思いつきではありません。

 価値(かち)あるだいじなことや次につながること(発展(はってん)すること)はまじめに勉強を積み重ねる態度(たいど)があってこそですね。


 ◆信じて古(いにしえ)を好む◆

 ある有名な歴史学者の先生が興味(きょうみ)深いことを言っておられます。「半世紀以上歴史を研究して、分かったことがあります。過去(かこ)のできごとは、そのほとんどが起こってあたりまえだったという事実です。偶然(ぐうぜん)などは、ほんのわずかです」

 このことから、みなさんは何を考えますか?

「それなら、これから先に起こることも起こってあたりまえなんだ」ということになります。

 私たちは未来のできごとを知ることはできません。しかし、予想することはできます。ただし、過去を正しく知ることがだいじです。都合の悪い昔のことを捨(す)てることはできません。良いことも悪いこともだいじなのです。

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師(こうし)・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2016年6月22日 無断転載禁止

こども新聞