レッツ連歌(下房桃菴)・6月23日付け

    (挿絵・FUMI)
◎どのくらい好きかと両手広げさせ

相も変わらぬ狭い料簡(りょうけん)(雲南)横山 一稔

◎バス待ちのオバさんたちの雨宿り

やめてほしいなオレのウワサは (浜田)宮野もり子

試食の品はぜんぶ平らげ    (松江)野津 重夫

◎ガラガラの電車の中で立っている

介護予防は五十代から     (出雲)野村たまえ

Iターンしてまだ抜けぬ癖   (益田)可部 章二

途中下車してトイレに直行   (松江)庄司  豊

◎世界一やっぱりかわいいうちのネコ

狙っています次の駅長     (松江)水野貴美子

ニンゲンなんてチョロいものよね(飯南)塩田美代子

◎用もない兄貴にちょっと電話する

年取るほどにつく里心     (益田)石川アキオ

スマホの操作試すついでに   (出雲)栗田  枝

これで完璧アリバイ工作    (松江)山﨑まるむ

◎右男左女の名演技

糸あやつりは青い目にウケ   (松江)高木 酔子

振り込め詐欺には気をつけんさい(浜田)放ヒサユキ

◎はじめてのお使いに行く一人っ子

職務質問される父さん     (出雲)石飛 富夫

ヘアーウィッグはどこで買ったの(雲南)板垣スエ子

披露宴には録画流れて     (浜田)勝田  艶

◎愛してるネェ愛してる愛してる

カメラ目線で歌うアイドル   (益田)黒田ひかり

この子ときたらまたマネをして (益田)吉川 洋子

思い込みほど怖いものなし   (浜田)三隅  彰

会話ロボにも恋が芽生えて   (松江)半田 有行

◎バアちゃんの姉さん被(かぶ)り赤だすき

笹巻く姿囲む園児ら      (出雲)原  陽子

遠目で見れば茶畑の華     (松江)森廣 典子

歩く姿はちょっと残念     (松江)佐々木滋子

不適切だが違法ではない    (松江)安東 和実

◎特産の由来を語る案内板

幾代餅にはきょうも行列    (松江)岩田 正之

逆光だけどスマホ取り出し   (大田)山形 俊樹

◎堂々と献上品に名を連ね

初めて食べたふるさと納税   (出雲)山田 弘之

◎独学でお茶もお花も師範格

私みたいな人もいるのね    (江津)岡本美津子

二代目だれと揉(も)めることなく(江津)花田 美昭

◎ネクタイをグリーンに替えて出勤し

可も不可もなく一日は暮れ   (出雲)矢田カズエ

アイルランドの使節迎える   (松江)石川  倫


           ◇

 富夫さんの句は、なぜ父さんが職務質問されるのかって、一瞬思いますよね。でも、ちょっと考えると、「はじめて」のお使いで、しかも「一人っ子」。親は心配で後を付けて行く。見え隠れに―。ああ、それで職務質問かと、ここで読者はハッと気がつく…。

 実をいうと、富夫さんの原作は、「後を付けたら職務質問」だったのですが、そこまで説明すると、読者の楽しみを奪ってしまうことになりませんか。

 原作が悪いというわけでは、けっしてありません。いい線行っているからこそ、もう一ヒネリしたくなるのです。

 艶さんの句もいいですね。幼児の世界から、いきなり二十年後へ! 言われてみれば何でもないのですが、この飛躍、初心者にはなかなかむずかしそう。

 「残念な夫」だとか、あるいは「残念少女」とか、ちかごろは「残念」ということばを、独特のニュアンスで使うようですね。こういうのを、ことばの乱れと取るかたもおられますが、私はそうは思いません。ことばは生き物ですから、時代とともに変化するのはあたりまえ。ファッションなんかと同じですね。

 滋子さんの句、とてもオシャレだと思いました。

           ◇

 次は、きょうの入選句に五七五を付けてください。

(島根大学名誉教授)

2016年6月23日 無断転載禁止

こども新聞