投票棄権 気をもむ選管 学生、住民票移さず転居

島根、鳥取両県選挙管理委員会が共同で作製したチラシ
 「18歳選挙権」が適用された参院選で島根、鳥取両県選挙管理委員会が、住民票を移さず今春転居した学生の投票行動に気をもんでいる。親元を離れて暮らす学生が投票するには、帰省して投票日当日か期日前に投票するか、または転居先で不在者投票を活用するしかないが、不在者は期日前に比べて一定の手続きが必要で、棄権する恐れがあるためだ。新有権者となる18、19歳からは「もっと簡単にしてほしい」との声が漏れる。


 総務省統計局によると、今年3月中に他都道府県に転入届を出した15~19歳は島根427人、鳥取297人。公私立高校を今春卒業し、県外に進学した人数が島根約3140人(鳥取不明)に上る現状を勘案すると、住民票を移さず転居した学生が多いとみられる。

 雲南市に住民票を残し、大阪府内の専門学校に進学した女性(19)は「平日は学校があり、期日前は難しい。投票のためにバスで片道1万円かけて帰省できない」と棄権を決めた。

 島根県選管の石倉智之選挙グループリーダーは「若者の投票率が低い要因の一つは、住民票を移さない実態にある」とする。両県選管は18歳選挙権の導入に伴い、合同で不在者投票の仕組みを紹介するチラシを作製。有権者宅に全戸配布し、家族から学生への呼び掛けに期待する。

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 ただ、不在者投票は一定の手続きが必要だ。宣誓書に必要事項を書いて住所地選管から投票用紙を取り寄せ、転居先選管などで投票する。事前の手続きが不要な期日前投票に対し、書類を郵送でやりとりしないといけない。

 住民票を松江市に残して広島大に進学した学生(18)は、手間がかかるとして不在者投票を断念。「投票用紙請求がオンラインでできればいいのに」と不満を口にした。

 住民票を移しても、住民登録から3カ月以上経過しないと居住地で投票できない。今回の場合、3月22日以降に移した人は不在者投票の手続きが必要となるが、仕組みの周知不足が一部で混乱を招いている。

 今月28日、島根県立大浜田キャンパスに開設された期日前投票所で、選挙人名簿に載っておらず、今すぐ投票できないと告げられた総合政策学部1年の塩見真弘さん(19)は「住民票を移しているのに、居住地の選挙区に投票できないのはいかがか」と訴えた。

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 また、不在者投票で用紙を請求した場合、転居先の市町村選管が定める場所で記入しないといけない。

 山陰両県出身者が計62人在籍する中央大(東京都八王子市)。不在者の記載場所は多くの学生が住む八王子、日野両市のうち、八王子市には8カ所あるのに対し、日野市は2カ所にとどまる。

 このため大学側は総務省や東京都選管などに記載場所の増設を要望した。八木隆史学事課長は「投票しやすい環境を整備するのは国や選管の責務」と訴えた。

 新有権者となる18、19歳は島根1万2949人、鳥取1万1041人に上る。

2016年6月30日 無断転載禁止