情報科学高校 安来の手仕事 世界に発信

IT技術で地域貢献

 私たちが通う情報科学高校では、情報の収集・分析・編集加工について専門的な手法を学びます。このような知識・技術を生かして地域に貢献できたら私たちもうれしいです。

 課題研究地域研究班では、Twitter(安来の手仕事)・Facebook(安来 手仕事)・チラシ作製・手作りアルバムの設置や動画の作成と放映(JR安来駅と道の駅あらエッサで放映中)、そして、今回の「青春はつらつ新聞」で情報発信を行うといった活動をしています。さまざまなメディアで情報発信することがどのような効果があるのかを研究します。

 この調査研究活動はPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)するPDCAサイクルを繰り返すことで、より効果的な情報発信方法を学ぶことができます。

 私たちの学びが深まると同時に、安来の活性化に貢献できるかたちを理想として、これからも研究活動を続けていきます。  (竹重佳菜)


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赤色が鮮やかな錦山焼の作品
錦山焼

 「辰砂」の赤に魅せられて

 錦山(きんざん)焼の歴史は安政元年創窯と古く、現在は7代目の中島剛史(つよし)さん(51)がその伝統を継承しています。

 錦山焼の特色は赤色になる「辰砂釉(しんしゃゆう)」とつや消しの「マット釉」で、4代目秀一さんが研さんの末に修得したものです。私たちが見せていただいたさまざまな辰砂の焼き物たち。形はもちろん、その発色は同じ辰砂の釉薬で同じ窯で焼き上げてもさまざまです。

 ピンクがかった淡い赤、燃えるような紅色、そして、紫が入ったようなクールな赤まで。こんなにバリエーションに富んだ赤色の陶器を見たのは初めてでした。

 この辰砂というのはきれいに発色することが稀(まれ)な難しい釉薬だそうです。だから、焼き上げて窯を開けるときの気持ちは不安でいっぱいだそうです。でも、開けてみて、思ってもみないような美しい焼き色の作品に出合ったときは胸が躍る、と言っておられました。

 陶芸は芸術である一方で化学でもあると思います。窯の温度や酸素の量を加減することで、還元のかけ方が変わってくるのだと教えてくださいました。

 そんなふうに熱心に語る中島さんが今、ある挑戦を始めています。辰砂のもっと多彩な色を出してみたいと中島さんは語ります。そのため、釉薬の調合や還元のかけ方を変えて試行錯誤を繰り返しているのだと。私たちに見せてもらったのはそんな最中の色とりどりの辰砂でした。中島さんの挑戦。まだ誰も見たことがないような美しい辰砂の色が見られる日は近いかもしれません。

 錦山焼は錦山焼窯元、JR安来駅、島根県物産観光館で販売されています。  (桑垣千夏)


緑が美しい八幡焼の作品
八幡焼

 植物も映える緑色の器

 安来市広瀬町にある「八幡(はちまん)焼」は、290年前に創業された伝統のある窯元です。

 八幡焼の特徴の一つとして、陶器の色が挙げられます。創業当時は自然のままの土色だったのですが、萩(山口県)の方から緑色の陶器や色の調合法が伝わったことにより、現在の美しい緑色の陶器が作られるようになりました。陶器の中には花瓶もあるため、陶器と同色である植物などを飾るのには合わないと思われがちですが、むしろ植物の鮮やかな緑が映えてとても美しいです。

 窯元の安食美幸さん(49)はそれぞれの作品にそれぞれの気持ちを込め、また、お客さまがどのようなものを望んでいるのか、試行錯誤しながら器を作っています。

 作っている主な作品は、花瓶、皿、コーヒーカップ、「ぼてぼて茶の器」などです。釉薬の調合分量などは一切書物に記さず、代々口伝により受け継がれてきた美しい青釉を、ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか。

 八幡焼の作品は八幡焼窯元、広瀬絣センター、道の駅あらエッサ、県物産観光館で販売されています。  (宇山ほのか)


広瀬和紙の製作に励む長島勲さん
広瀬和紙

 伝統素材で作るこだわり

 「広瀬和紙」は安来市広瀬町下山佐にある和紙工房です。一口に和紙と言っても、さまざまな種類や特徴があります。

 例えば、雁皮(がんぴ)という植物から作られる「雁皮紙」は、独特の光沢と渋みを持ち、水にも強く「和紙の王」と呼ばれています。「楮(こうぞ)紙」は楮の樹皮繊維から作られ、虫に侵されやすい一面もありますが、素朴で強靱(きょうじん)です。三椏(みつまた)を原料に作られる「三椏紙」は繊細明朗で、虫に侵されることがありません。他にも、稲わらと三椏の繊維を混合してすき上げた「藁紙(わらがみ)」は、筆の滑りがいいので書道用紙などに使用されています。それぞれ完成までには約1週間かかります。

 広瀬和紙業5代目になる長島勲さん(78)は、人間国宝だった故・安部榮四郎氏の指導を受けて、昔ながらの素材による純粋な和紙制作を志しました。長島さんの和紙はちぎった風合いが美しく、ちぎり絵などにも適しています。また、一枚一枚使いやすい和紙を作るために、多くの材料を混ぜ、使う素材にもこだわりをもって紙業を営んでいます。

 長島さんが作った和紙はJR安来駅、加納美術館、県物産観光館、広瀬絣(がすり)センター、広瀬和紙製作所で販売されています。  (西尾直也)


方円窯の亀尾志郎さん(左)を取材する地域研究班の生徒
方円窯

 独自の作風生活を彩る

 私たちは「方円窯」で焼き物を作っておられる亀尾志郎さん(66)のところへ取材に行きました。

 亀尾さんは、工業高校の建築科を卒業してから5年間、建築関係の仕事をされていました。しかし、建築の仕事より物作りが好きだったこと、当時焼き物ブームだったことがきっかけで、23歳の時、茨城県や京都府の窯元に弟子入りして修業を重ねた後、昭和54年に安来市広瀬町の「須谷の里」に方円窯を開きました。

 「方円窯」という名前は、亀尾さんのおじいさんがこよなく愛された茶室・方円庵にちなんでつけたそうです。工房には、訪れた人が粘土ひねりを楽しめる場所も設けられています。

 焼き物は、窯いっぱいで焼くのでたくさん作ることはできますが、とても時間がかかり、できあがるまで早くても1か月はかかるそうです。昔と違い、材料の土は違う所から取り寄せるようになったので、形や模様、絵柄などは、自分にしかない個性を生かして作っているそうです。独自の作風で作る作品は生活陶器が中心です。

 方円窯で作られた作品はJR安来駅、道の駅、加納美術館、県物産観光館、広瀬絣センター、出雲大社で販売されています。  (西尾直也)


藍染めの作業をする天野尚さん
天野紺屋

 染め手も使い手も楽しく

 日本の古くからの手仕事の一つに「藍染め」があります。藍染めは、約1800年前に中国から持ち込まれたものと伝えられています。布や糸の繊維が丈夫になったり、防虫・消臭効果があったり、紫外線をカットできたりと、さまざまな利点があり、日本のみならず海外でも高い人気を博しています。

 そんな藍染めを行っているのが、安来市広瀬町にある「天野紺屋(こうや)」です。天野紺屋は1870年から代々糸染めを専門にしている紺屋で、昔と変わらぬ技法で「綿糸」「麻糸」「絹糸」を染めています。

 糸を染めることができる藍の濃淡は8種類あり、一番淡い色から順に「甕覗(かめのぞ)き」「水浅葱(あさぎ)」「浅葱」「納戸」「縹(はなだ)」「藍」「褐色」「中紺」となっています。布の場合は「甕覗き」以外の色染めとなりますが、黄色の布であれば深緑色に、赤色の布であれば紫色に染めることができるそうです。主に松江や米子、東京などで販売や出荷をしておられます。

 現在、5代目として活動している天野尚(ひさし)さん(36)は、とても明るく気さくな人柄で、代々継がれてきた藍染めを誇りに思っている方です。ただ染めるだけでなく、藍で染めた布を利用して財布や髪留めなども作り、天野紺屋内で販売をされています。

 天野さんの「偶然の出会いを大切にしたい」という思いから、店の前には看板がありません。外から店内をのぞき、興味を持った方が店に入ってくださることが好きなのだそうです。

 また、どのような気持ちで藍染めをしているかをお伺いしたところ、「とにかく楽しくやっています。私が楽しい気持ちで藍を染めれば、きっと良いものができる。使い手が私の作ったものを手に取ったとき、私の顔を思い出して少しでも楽しい気持ちになってほしいです」とおっしゃっていました。  (日野聖子)


「安来のやさしい手仕事展」のポスター
安来のやさしい手仕事展

 受け継ぐ伝統の技 県物産観光館で3日まで

 私たち情報科学高校地域研究班が今回取材し、紙上で紹介した、安来市内の5つの工房の作品を集めた展示販売会「安来のやさしい手仕事展」が7月3日まで、松江市殿町の島根県物産観光館2階特設スペースで開催されています。2、3日には、私たちが会場で受け継がれてきた伝統の技と作品の魅力を紹介します。ぜひお越しください。


編集後記

地域研究班のメンバーたち
 今回、私たちは「安来の手仕事」について調査し、記事に仕上げたことにより、改めてふるさとの良さを知ることができました。

 地元のことなのに、私たちは安来の手仕事についてほとんど知りませんでした。情報の収集・編集・加工・発信の技術などについて専門的に学ぶ私たちですが、自分たちもあまり詳しく知らなかったことについて、その魅力をたくさんの人に伝え、興味を持っていただくため、試行錯誤を繰り返しました。

 何が正解か分からないけど、地域を思って取り組む活動、自分たちの特技が生かせるのはとてもやりがいがあります。地域にも私たちにとっても真に意味のある活動になるよう、これからも研究を続けます。  (日野聖子)

2016年7月1日 無断転載禁止

こども新聞