アキのKEIルポ 8強へ格好の相手

チリッチ、敵役が定着

 マリン・チリッチといえば、日本では「錦織が全米OP決勝で破れた相手」という、いわゆる敵役が定着しているのではないだろうか?

 「圭は僕より1歳年下なだけだし、同じようにツアーで育ってきた選手」。そう錦織をライバル視するクロアチアのエースの足跡は、錦織とのそれと幾つかの共通項も見られる。

 出生地のメジュゴリェは人口わずか2千人強のボスニア・ヘルツェゴビナの小さな町。地元のコーチの勧めで足を運んだザグレブのテニスアカデミーで、現コーチでもあるクロアチアの英雄、イバニセビッチの目に止まった。

 そのイバニセビッチが、自分の元コーチであるボブ・ブレットと引き合わせたことで、チリッチはトッププレーヤーへの道を歩み出す。

 ちなみにブレットは松岡修造氏の元コーチでもあり、「修造チャレンジ」のスーパーバイザーとして錦織に数々のアドバイスを与えてきた名伯楽だ。

 「圭は素晴らしい選手。だが最後に良いスコアでコートを去るのは自分でありたい」と、チリッチは紳士的な物腰の中にも闘志を光らせた。

 「オールラウンダーでスキのない選手」と、錦織は相手の力を称える。初のウィンブルドンベスト8を懸けて戦う舞台には、格好の相手が用意された。

 (フリーラーター・内田暁)

2016年7月4日 無断転載禁止