論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(44)


【訳(やく)】

 先生(孔子(こうし))が言われた。人格(じんかく)を高める道は、まず詩を学んで豊(ゆた)かな言葉を知ること、次に礼儀(れいぎ)や節度を身に付けること、最後に音楽で心と心を調和することができるようにする。


「感性の豊かな人」になるために


 世界のどこでも通用する「感性(かんせい)の豊かな人」になるとは、今も昔もまさにこういうことです。


 ◆言葉を知る◆

 論語(ろんご)でいう「詩」とは、「詩経(しきょう)(中国最古の詩集)」のことを指(さ)しています。孔子の弟子(でし)は初めにこれを読むことになっていました。詩の朗読(ろうどく)と暗唱(あんしょう)は言葉を豊かにします。そして、人の感情(かんじょう)や自然への感じ方を豊かにします。そのために、詩を学ぶことを、はじめの一歩としたのです。みなさんが学校で習う国語も、言葉を通して同じことを学ぶのです。


 ◆礼を身に付ける◆

 「礼」は相手を思いやる心を、形として表したものです。そして、自分のはやる気持ちを抑(おさ)えて心を落ちつかせるものです。だから、礼儀正しい人には、警戒(けいかい)したり、恐(おそ)れたりする心が消えていくのです。ただし、「人にして仁(じん)あらずんば、礼を如何(いか)にせん」とも言っています。すなわち、思いやりの心がなく、形ばかりの「礼」はかえって、人の気持ちを不愉快(ふゆかい)にさせるということです。日常(にちじょう)、よくあることですね。孔子は上辺(うわべ)だけを飾(かざ)るような礼を嫌(きら)いました。


 ◆調和する◆

 この当時、音楽ができる人は、高い教養(きょうよう)のある人とみられていました。孔子もずいぶん音楽の分かる人だったようです。

 合奏(がっそう)・合唱(がっしょう)コンクールなどを聴(き)いていると、心がふるえて自然に涙(なみだ)が出ることがよくあります。理由は分かりませんが、おそらく音楽には人の心を揺(ゆ)さぶる不思議(ふしぎ)な力があるのでしょう。

 同じように、人と人が心を響(ひび)き合わせることがあります。そして、共感(きょうかん)したり感動すると、おたがいの心がひとつになります。

 昔から日本では、あらゆる伝統(でんとう)文化が「和」の心をだいじにしてきました。和の心とはまさにハーモニーなのです。

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師(こうし)・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2016年7月6日 無断転載禁止

こども新聞