(2)邑南町出羽地区(下) 広がる交流

邑南町内のスキー場を貸し切りにして開かれた交流会で、世代を超えて記念撮影を楽しむ出羽地区の住民
 趣向凝らして絆を結ぶ

 ライトに照らされた白銀のナイターゲレンデで、子どもから高齢者まで、多くの笑顔がはじけていた。

 邑南町の出羽自治会が町内のスキー場を貸し切りにして5日に開いた大交流会。住民の世代間交流の機会として2015年に始めた企画には、地区内から、住民907人の1割を超える128人が参加した。スキーを楽しむ親子連れをはじめ、ロッジで宴会目当ての大人たちの姿も目立つ。普段は触れ合うことの少ない異世代間で親睦を深めていた。

 ロッジの一角を占めた高齢の女性陣に「スキー、するんですか」と声を掛けてみた。「やらないけど、にぎやかな雰囲気が好きだから」と同町三日市の自営業、林富美子さん(75)が参加理由を話してくれた。住民が交流会を楽しみにしているのが伝わってきた。

 企画を担当したのは自治会交流部。自ら発案し、運営に中心的な役割を果たしたのが同町三日市の会社員、日高伸司さん(47)だ。ゲレンデの安全確保から記念写真撮影の段取りまで細かく気配りし、交流会は午後10時すぎ、盛況のうちに終わった。「自治会の冬の恒例行事として続けていきたい」と誓った顔は、参加者と同じ笑顔だった。

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 都市部との交流人口拡大にも力を入れる。旧暦の桃の節句に合わせて開く「出羽ひな街道」。3月下旬から4月上旬にかけて、通りに面した民家の軒先や縁側、庭をひな人形で華やかに飾り付ける。散策を楽しむ観光客の中には、広島県をはじめ、県外客も見掛けられるという。

 10年度に始まった企画には、自治会や公民館が共催として加わり、当初は15軒程度だった会場や展示数も年を追うごとに増えた。14年度は35会場に1千体を超える人形を飾り付け、約2週間の期間中に855人が訪れたという。行事の定着ぶりに、交流部に所属し、企画の実行委員長を務める同町三日市の自営業、和田保人さん(65)は「地域のにぎわい再生につなげたい」と望む。

 「春の華やかな風物詩を見に行こうか」。今年も立ち並ぶ予定のひな人形の姿を想像し、思った。

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 冠婚葬祭や農作業などでお互いに助け合うことを「手間替え」と呼び、大切にしてきた気風が残る土地柄。趣向を凝らして交流に力を入れるのは、地区内外で絆を結ぼうとする意志の表れのように感じる。

 今年1月末の高齢化率は37・8%に上り、県中山間地域研究センター(飯南町)の予測で、人口が現状のペースで推移した場合、45年には約300人減り、600人を下回る。出羽自治会の大田文夫会長(66)は「状況は厳しく、難題は山積している」と強い危機感を持つが、地域を「自治」する会を引っ張り、夢のある地区の未来に向け、課題解決に果敢に挑んでいる。

2016年2月20日 無断転載禁止