(3)浜田市美又地区(上) 女性の力

 挑戦続け豆腐特産品に

 口に含むと、大豆独特の甘味がふわりと広がった。

 「美人の湯」として知られる美又温泉がある浜田市金城町美又地区の加工場「夢はち工房」。女性グループ「花みずき」のメンバーが作る豆腐は黒みがかった独特の色で、地元産の黒大豆などを原料にした珍しい一品。味は濃厚で、商品名の「大黒とうふ」は縁起の良さもイメージさせる。

 「食べるとお肌にいいんですよ」。3月上旬に加工場を訪ねると、グループの一人の佐々浦豊子さん(61)=浜田市金城町入野=が手を休め、出来たてを差し出してくれた。黒大豆に含まれる成分のアントシアニンに効果があるという。「美人の湯が湧き出る地域にぴったりの特産品だ」と思わず膝を打った。

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 花みずきは、加工品開発を目的に2013年3月に発足。現在は地区内の女性12人が、豆腐をはじめ、おからを有効利用したこんにゃくやかりんとう、豆乳を使ったケーキなど多彩な商品の製造を手掛けている。

地元産の黒大豆を使った「大黒とうふ」を作る「花みずき」のメンバー。重ねた試行錯誤が実を結んだ
 豆腐作りは毎週木曜日。旧保育所を改修した加工場にメンバーが集まり、1日当たり120丁分を手際よく仕上げる。製造用の機械は、補助金を活用してしつらえた。

 今では、美又の特産品として名が通り始めたが、13年5月の試作開始当初は味や形に課題が多く、厳しい声も耳に入った。「やっぱり、豆腐は白くないとおいしくないね、とよく言われた」。同じくメンバーの小西ヒサヨさん(73)=同町追原=と大池幸子さん(65)=同=が振り返る。

 だが、女性たちは挑戦をやめなかった。黒大豆を煮る水の種類、にがりを入れるタイミングなど原料選びや製法に試行錯誤を繰り返し、家族や知人に何度も試食を求めた。約1年かけてようやく、納得のいく出来具合にたどり着いた。

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 1丁(400グラム)が300円。一般的な白い豆腐と比べて随分と高級品だが、市内外の道の駅やスーパーなどに少しずつ販路を広げ、広島方面からの温泉客がまとめて買い込むなど固定ファンも増えてきた。

 会を束ねる小西喜美子会長(69)は「黒大豆の珍しさも手伝い、美又の特産品として浸透してきた。もっと品目を増やしていきたい」とますます意欲的。家事や介護などの傍ら、特産品づくりを支え続ける女性たちの前向きな力が、地域に高い評価をもたらすことになる。

2016年3月24日 無断転載禁止