(4)浜田市美又地区(中) 6次産業化推進

地元農産物の6次産業化推進に向け、今後の活動について打ち合わせをする佐々原熊雄理事長(左)と小西修二会長
 国表彰追い風 販路拡大

 東京・丸の内のJR東京駅前の行幸地下通路に18日、黒大豆のおからを使ったこんにゃくやかりんとう、黒米を原料にしたオリジナル米焼酎「黒大蛇(おろち)」など、浜田市金城町美又地区の特産品がずらりと並んだ。都心の地下に全国28ブースが顔をそろえた定例マルシェへの出店は、農林水産省から持ち掛けられた。

 地区の女性グループ「花みずき」などが地元産の黒大豆や黒米を使って製造する商品は付加価値が高く、条件が不利な中山間地域の農業に新風を吹き込んでいる。農水省は2015年度、活動を主導する住民組織「美又湯気の里づくり委員会」を、地域活性化の優良事例として表彰する「ディスカバー農山漁村の宝」に選んだ。出店は、選定が呼び水となった。

 ブースの前に立ったのは、同委員会の小西修二会長(61)とNPO法人「美又ゆめエイト」の佐々原熊雄理事長(71)。足を止め、商品を手に取る通行客の姿に、2人は「素材のユニークさもあり、都会の人にアピールできたのではないか」と感じたという。一定の手応えが、出張販売の土産になった。

  ◇ ◇ ◇

 「美人の湯」で名が通る美又温泉があり、かつては利用客でにぎわった美又地区も過疎高齢化が進み、人口は05年度の475人から14年度は331人まで減少。一方、高齢化率は37・5%から42・6%に上がった。町内会や美又温泉旅館組合など20団体で構成する同委員会は11年6月に発足。「地域の行く末への危機感に背中を押された」と小西会長は振り返る。

 打開策として考え出したのが、地域で特産化を進めている黒米や黒大豆の加工・販売を通した産業振興。「地域まるごと6次産業化」を合言葉に、推進組織として13年7月、同NPOを設立した。

  ◇ ◇ ◇

 花みずきとの連携で商品を増やし、生産量や販路も徐々に拡大。収支はまだ、決して楽な状況ではないが、広島市内の中堅スーパーや東京都内の宅配業者から引き合いもあるという。佐々原理事長は「選定を機に商品の認知度が広まりつつある」と感じている。

 東京出張の2日後、加工場「夢はち工房」に併設した事務所で、出店の反省とともに今後の活動について打ち合わせをした2人。選定を記念して6月に開く予定の地域イベントなどと合わせ、話に上ったのは、同委員会が当初から活動の目的に掲げている美又温泉のにぎわい再生だった。

2016年3月25日 無断転載禁止