(6)益田市二条地区(上) 空き家の活用

 定住促進 衰退に歯止め

 「カントリーライフしています」「43年ぶりのふる里二条です」―。

 県西端の中山間地に位置する益田市二条地区の地域自治組織「二条里づくりの会」が2015年12月に発行したA3判の住民向け情報紙で、14年から受け入れたU・Iターン者9世帯17人全員のコメントを写真付きで紹介した。地元住民に親しみを持ってもらおうと発案した号外企画で、約270世帯に全戸配布した。

 その後も移住者は増え、14年以降で計13世帯28人。出雲市出身で今春、家族4人で地区内の空き家に居を構えた県職員の池田有士さん(41)は「親身になって移住の相談に乗ってもらった」と同会の担当者に感謝し、近所の農業、笠松清久さん(73)は「小さな集落がにぎやかになった」と手放しで喜ぶ。

 「多くの人に移り住んでもらい、うれしい」と話すのは、同会で定住や交流の施策を担う「ひと部会」の岡崎三喜男部会長(59)。短期間で人口569人の約5%に達する実績には驚くばかりだ。

   ◇  ◇  ◇

古民家を改修した交流施設「つどい」で、今後の活用策について意見を交わす岡崎三喜男部会長(左)と住民たち
 1950年代前半に2500人を超えていた人口は離農による都市部への流出などで激減し、今ではピーク時の4分の1を下回る。商店が減り、病院やガソリンスタンドがなくなるなど地域の衰退に危機感を持った同会が、移住者を呼び込もうと着目したのが、空き家の活用だった。

 同部会は14年度、自治会の協力を得て調査し、約300戸の20%に当たる60戸が空き家になっていることを突き止めた。所有者に、市が設けた空き家バンクへの登録を促し、追加登録した6戸を含む9戸中、5戸の入居につなげた。取り組みに奔走する岡崎部会長は「本年度も2、3世帯は受け入れたい」と意気込む。

   ◇  ◇  ◇

 地区中心部から東へ2キロ離れた県道沿いの空き古民家を活用し、15年に整備した交流拠点「つどい」。同部会が運営を手掛ける木造平屋の施設は看板通り、地区内外の人たちが集う場になっている。

 15年11月には、同会が初参加した「しまね田舎ツーリズムキャンペーン」のまき割り体験や料理の会場として利用。同12月には、山口県周南市からの町づくり視察団を受け入れた。16年8月には、広島大の大学院生が研修合宿に訪れる。

 黒光りする梁(はり)の下に新設したいろりを囲んだ4月中旬。岡崎部会長は「二条への移住に関心を持つ人のお試し住宅としても使いたい」とアイデアを披露した。案内してもらった地区内に点在する空き家が、貴重な地域資源に映った。

2016年4月27日 無断転載禁止