(8)益田市二条地区(下) 鳥獣害対策

鳥獣被害防除隊捕獲班による初のジビエ料理おもてなし会で、イノシシ肉を使ったメニューに箸をのばす参加者たち
 自治組織と猟友会一丸

 スペアリブやロースト、チャーシューやベーコンスープなど、イノシシ肉を使った多彩なメニューが無料で振る舞われた。

 益田市桂平町の二条地区振興センターで24日に開かれた「ジビエ料理おもてなし会」。二条里づくりの会に2015年4月に発足した「鳥獣被害防除隊捕獲班」による初企画で、地区内の史跡「横山城跡」を歩く恒例のウオーキングイベントの参加者約100人が、有害駆除したイノシシの肉を生かした昼食に舌鼓を打った。

 同班のメンバーが、秘伝のたれを使うなどして手間暇掛けて仕込んだ肉は味わい深く、イノシシ肉特有の臭みや硬さは、みじんも感じられない。次々と皿によそい、胃袋に収める参加者の姿に、地元でイノシシ肉の専門店を営む竹田尚則班長(51)は「ウオーキングイベントと合わせて恒例化したい」と喜んだ。

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 同地区では人口減少に伴い、耕作放棄地や竹林の放置などが増え、鳥獣害が深刻化。近年、年間約50頭を捕獲するイノシシをはじめ、サルやクマ、さらに特定外来生物のアライグマやヌートリアまで出没。「昔と比べて、農家への被害は格段に広がっている」。おもてなし会の会場で包丁を振るった猟師歴約50年の安田政行さん(71)の言葉に実感がこもる。

 同会の品川勝典会長(75)は「農家の意欲減退を招いている」と、鳥獣害を重要な問題ととらえ、「くらし部会」の任務として対策に取り組んでいる。地元の二条猟友会の会員が同部会内に捕獲班として加わり、目撃情報を収集するための連絡網も構築した。連絡先として10人の担当者を置き、被害多発地の特定や迅速な対応につなげる仕組みは「鳥獣害110番」と言っていい。

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 15年度は、連絡網で受けた情報を集約し、野生動物の出没が特に多いエリアを絞り込んだ。16年度は、結果を受けて地区内の5カ所を選定し、檻(おり)周辺に付けたセンサーが野生動物を感知するとスマートフォンにメールを送り、遠隔操作で捕獲や威嚇をするシステムの導入を目指す。

 二条猟友会も、有害鳥獣の駆除に当たる会員増に向け、住民の狩猟免許取得に対し、2万円を補助する担い手育成事業を開始。猟友会長にも就任した竹田班長は「狩猟者を増やし、若返りも図りたい」と話す。

 里山の維持や農地保全の難敵に、地域自治組織と猟友会が一丸となって立ち向かう同地区の取り組み。鳥獣害に悩む他の中山間地域のモデルケースとなるか注目だ。

2016年4月29日 無断転載禁止