(13)大田市北三瓶地区(中) 交流拠点

庫裏を活用した交流拠点で開かれた体験イベントで、布草履作りを楽しむ参加者
 庫裏の活用へ夢を託す

 寺の本堂が移転した後、残った庫裏が、地域の新たな交流拠点として活用されていた。

 大田市三瓶町多根の元宝陀寺(ほうだじ)の庫裏で6月27日に開かれた布草履作りの体験イベント。築80年を超え、柱や障子が趣を感じさせる室内では、ふすまや引き戸が開け放たれ、参加した住民8人が、広々とした畳敷きの間や縁側で存分に足を伸ばし、落ち着いた雰囲気も満喫した。

 普段、地域行事の会場として多用される公民館や集会所などとは違ったたたずまいに、同市山口町の主婦、亀谷貴美子さん(59)は「庫裏が醸し出す独特の風情が気に入った。今後も企画があれば、ぜひ参加しに訪れたい」と笑顔を見せた。

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 庫裏は、北三瓶地区の地域づくりに取り組む「北三瓶よろず会」の三つの分科会のうち、交流・定住分科会が、広島県廿日市市の所有者から無償で借り、2015年4月から運営と管理を担っている。これまでも、浴衣の着付け教室や琴の演奏会、高齢者が集うひな祭り交流会など多彩なイベントで活用してきた。

 同分科会のメンバーの一人で、今回の体験イベントで世話役を務めた川上真理子さん(61)=大田市三瓶町多根=は「所有者の好意で使わせてもらっている大切な建物。地域のにぎわい創出に向け、知恵を絞りたい」と話し、落語会やフリーマーケット、そば打ち体験などの企画も温めている。住民交流の活発化に向け、新たな拠点に期待がかかる。

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 体験イベントの開催に先立つ6月24日に、庫裏で開かれた同分科会の会合。集まったメンバー11人の議題は多岐にわたった。庫裏のさらなる利用促進策をはじめ、地区内の空き家把握調査の徹底、さらには、庫裏周辺の山林を生かした「森の幼稚園」の開設にまでアイデアが膨らんだ。熱のこもった議論から、地区の将来を思う強い気持ちが伝わってきた。

 「三瓶山の麓の豊かな自然環境をアピールし、U・Iターン者を呼び込みたい」。大田市の定住推進員として空き家対策などに取り組む傍ら、地元で同分科会の会長を務める森山敏夫さん(67)=同=は、庫裏の活用を定住推進にも結びつけたい考えで、交流人口拡大に向けたゲストハウスや、移住希望者対象の短期お試し住宅としての利用も思い描く。

 会合では、庫裏で使う上水道の整備や室内のバリアフリー化などを進めていく方針を決めた。改修に着手する庫裏に夢を託し、同分科会の模索が続く。

2016年7月6日 無断転載禁止