(14)大田市北三瓶地区(下) 配食サービス

北三瓶地区内の高齢者に、配食サービスの弁当を手渡す黒谷寿美枝さん(左)
 高齢者の暮らし支える

 「お弁当を持って来ましたよ」―。毎週水曜日のお昼前に、配食ボランティアの元気な声が大田市北三瓶地区に響く。

 住民主体の町づくりに取り組んでいる「北三瓶よろず会」の生活・環境分科会が、2015年5月に始めた高齢者向けの弁当配食サービス。塩分を控えるなど健康に配慮したメニューを玄関まで届けてもらえるとあって、現在、高齢者17人が利用するなど好評だ。

 6月中旬の水曜日には、ボランティアリーダーの影山美千枝さん(64)=大田市山口町=と、黒谷寿美枝さん(63)=同=が手分けし、サケのホイル焼きや青菜の磯辺あえなどを詰めた弁当箱を10軒に配った。手渡してすぐに帰るのではなく、「体の具合はいかがですか」と声掛けも欠かさない。

 弁当を受け取った同市山口町の藤原広吉さん(85)と延枝さん(82)の夫婦は「年を取り、料理が負担になることもあるので、毎週楽しみにしている」と重宝し、黒谷さんは「お年寄りが待っていてくれるのが大きなやりがい」と充実感を漂わせた。

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 配食サービスは、地区の独居高齢者56人を対象にした聞き取り調査で、ニーズを把握した。地区内に生鮮食料品店がなくなり、食材の調達や食事の栄養バランスの確保に不安感があることを示した結果を受け、同会が実施を決めた。

 市街地から約15キロ離れ、弁当宅配事業者の参入が難しかったため、事業者が同町の北三瓶まちづくりセンターまで一括して弁当を届け、地区内の各戸には住民ボランティアが配達する仕組みをつくった。

 弁当は1食分が450円で、配達料を取らない同会に収入はないが、スタッフ7人を束ねる影山さんは「お年寄りの笑顔が活動の原動力。要望がある限り続けられるようにしたい」と意欲的。弁当の調理まで担う態勢づくりも検討している。高齢者の食を支える取り組みは、住民間の絆の強まりにもつながっている。

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 地区の人口は6月1日現在539人で、平成の合併時の05年10月と比べて約20%も減り、高齢化率は約45%に上る。「地域のよろずごとに対応したい」という大谷正幸会長(66)の思いから名付けられた北三瓶よろず会。「生活・環境」「交流・定住」に「農林畜産業」を加えた三つの分科会がそれぞれテーマを設け、地域課題の解決に向けて奮闘している。三瓶山の麓で進む多角的な事業に期待がかかる。

2016年7月7日 無断転載禁止