レッツ連歌(下房桃菴)・7月14日付け

挿絵・FUMI
 前句の「犬」に対して、今回はけだものが3匹も出てきました。犬と猫、犬と熊、犬と象―、あなたならどんな連想をされますか。作品を読む前にちょっと考えてみるのも一興!

           ◇

 だれにでも噛(か)みつく犬は嫌われて

留守番させるしか能がない   (浜田)放ヒサユキ

見かけほどではない気の弱さ  (浜田)山崎 重子

仕事はできるが部下にはいらない(松江)川津  蛙

同窓会の案内も来ず      (松江)高木 酔子

世にはばかって長生きをする  (美郷)源  瞳子

象のはな子は死んでしまった  (雲南)板垣スエ子

それも個性とママは持ち上げ  (松江)森廣 典子

三途の川はどうして渡るの   (川本)高砂瀬喜美

陰で支える大和撫子(なでしこ)(松江)澄川 高子

札所巡りの旅に出たげな  (出雲)はなやのおきな

八方美人がウワサしている   (松江)山﨑まるむ

ペンペン草が生える玄関    (松江)田中 堂太

スクープ記者はお手柄を立て  (大田)山形 俊樹

ベテラン刑事意にも介せず   (松江)水野貴美子

正義の人とあとで惜しまれ   (飯南)塩田美代子

祭壇埋める白菊の花      (松江)岩田 正之

無視されてまた上がる血圧   (出雲)石飛 富夫

綱吉公のお触れに当惑     (松江)植田 延裕

してやったりと悪役レスラー
            (沖縄・石垣)多胡 克己

広い心の味方は母だけ   (隠岐の島)中前さつき

ダンゴはないと言う桃太郎   (益田)石田 三章

鬼が島へと流されにけり    (松江)土江 ユミ

好きな彼女の親ダどうしよ   (江津)岡本美津子

妻と娘はきょうも女子会    (出雲)黒田千華子

お局様(つぼねさま)は呼ばぬ女子会
               (益田)石川アキオ

評価が変わった熊の出没    (松江)持田 高行

愛情不足だったんだよねぇ  (奥出雲)松田多美子

命をかけて守るご主人     (出雲)原  陽子

きょうも会議が長くなりそう  (浜田)松井 鏡子

家に帰れば借りてきた猫    (出雲)吾郷 寿海

スリスリうまいやつが世に出る
             (隠岐の島)浅垣 多世

強気がアダのブログ炎上    (益田)可部 章二

ゴマスリよりはよっぽどかわいい(浜田)勇 之 祐

餌を与えりゃ飼主に似る    (江津)花田 美昭

星空見上げ思うふるさと    (出雲)飯塚猫の子


           ◇

 「象のはな子」は意外だったかもしれません。犬と象とは、特に関係あるわけじゃない。ここは、「一方では…」という付けかたなのです。最新の話題を、うまくまとめていただきました。

 だれがウワサをしようと勝手ですが、まるむさんの句、「八方美人」というのがいいですね。「噛みつく犬」と「八方美人」とは、正反対の両極端。あえて付き合うとしたら、どちらがマシか。

 それは、勇之祐さんに聞いてみましょう。

 職業がら、嫌われて「意にも介せず」という人もおられるのですね。もっとすごいのは、嫌われて「してやったり」! これも職業がら。

 克己さんの句で、もうひとつおもしろいのは、前句の「犬」を、猛犬のような怖い人、と比喩的に取りながら、そのくせ、「噛みつく」のほうは、文字通りの意味をそのまま残してある、という点です。人間なんだけど、ほんとうに噛みつくのですね。プロレス特有のあの世界が、ユーモラスに表現されました。

           ◇

 次は―、

  視力はよいが眼力がない

 文字どおりの意味と比喩的な意味とがからみ合った、これもちょっとおもしろい前句でしょう。

 楽しい五七五を期待しております。

(島根大学名誉教授)

2016年7月14日 無断転載禁止

こども新聞