(15)川本町三原地区(上) 交流の場づくり

 住民同士支え合い拡大

 冷たいそうめんが流れる竹の周りで、子どもから高齢者まで異世代の住民の歓声が響いた。

 川本町の中心部から西に約10キロ離れた三原地区の川本北公民館で、住民有志のグループ「三原の郷(ごう)未来塾」が9日に開いたイベント「竹フェスティバル」。地元住民のほか、子育て中のIターン家族など37人が、浅原幸雄代表(64)らメンバーの指導で竹製の箸や器を自作し、流しそうめんを味わって交流を楽しんだ。

 千葉県成田市から同地区に2年前、家族でIターンした柴原かんなさん(44)は、長男の民門ちゃん(3)と参加。「同じ子育て世代をはじめ、普段は顔を合わせる機会が少ない住民の方々とも親睦を深められる」とイベントの開催を喜んだ。

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 三原の郷未来塾は、同地区の4自治会でつくる三原連合自治会が2014年11月に設立した町おこし組織「石州三原の郷(さと)プロジェクト」の4部会の一つ。高齢化率が51・8%に上る同地区で、住民間で支え合う仕組みづくりに力を注いでいる。毎月2回のイベントもその一環で、交流の機会を設け、意識の醸成を図る。

竹を有効活用したイベントを開いた「三原の郷未来塾」の浅原幸雄代表(右)。住民間の支え合いの礎となる交流の機会づくりに力を入れている
 イベント開催日に合わせて同公民館に開設しているのが「井戸端サロン」。東京都内の喫茶店でマスターを務めた経験があり、10年3月にUターンした岡本洋二さん(69)らメンバーが、エスプレッソマシンを使ったこだわりのコーヒーでもてなすのが売りだ。

 「おいしいコーヒーを飲みながら、世間話をするのが何よりの楽しみ」と笑顔で話すのは、常連の1人の野中美智子さん(78)。利用者の延べ人数が16年度、既に165人に上るなど、新たな憩いの場として定着している。

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 取り組みのもう一つの柱として、力を入れているのが「暮らし応援隊」と名付ける活動だ。地区内の独居高齢者世帯などを対象に、草刈りや墓掃除、雪かきなどを有料で受け付ける。住民12人が隊員登録。22日には、浅原代表ら5人が2世帯を回り、照りつける太陽の下で、生い茂る雑草を機械で一気に刈り取った。

 1人暮らしの横山シズコさん(85)は、昨夏に続いて2回目の利用。家の近くに所有する山の斜面の見違える姿に目をやり、「年を取って草刈りの負担は大きく、応援隊の活動は助かる。顔見知りだから、安心してお願いすることもできる」と信頼を寄せた。

 「高齢化が進む中、住民同士の協力が、ますます大事になる」と話す浅原代表。緑がまばゆい田園地帯に、支え合いの輪が確実に広がっている。

2016年7月28日 無断転載禁止