(16)川本町三原地区(中) 農業振興

竹堆肥を施したエゴマ畑で、ブランド化への方策を語り合う(左から)柴原信行さん、釜田雄二会長、平田広文事務局長
 竹堆肥使い差別化図る

 県内有数のエゴマの産地として知られる川本町内でも、特に栽培が盛んな三原地区。盛夏を迎え、高さ30~40センチに育ったエゴマが葉を大きく広げた30アールの畑には、竹チップを使った独自の肥料が施されていた。

 栽培しているのは、三原連合自治会内の町おこし組織「石州三原の郷(さと)プロジェクト」の農業分野の部会として、2014年に設立された「竹堆肥研究会」の釜田雄二会長(65)。町内のエゴマ生産団体「川本エゴマの会」の会長を今春引き継ぐなど生産者のリーダーだ。

 安全安心な農法へのこだわりから、土中の微生物を活性化し、土壌改良などに効果があるとされる竹堆肥の働きに着目。2シーズン目となる今年は、自分たちでチップ化した竹に米ぬかや茶殻を混ぜて肥料を作り、5月下旬にまいた。

 地区内全体では110アールで竹堆肥を使っている釜田会長。順調に生育しているエゴマを前に「効果は数年で出てくる。連作障害が解消され、ひいては品質向上や収量増につながる」と出来栄えに期待を掛ける。

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 同町でエゴマ栽培が始まったのは2003年。川本エゴマの会の竹下禎彦・前会長(75)の地道な普及啓発活動などを通して、同地区を中心に産地化の取り組みが進んだ。近年は、健康志向の高まりを受けて全国の消費者から注目を集め、テレビ番組で紹介されたのを機に商品が完売するなどの人気ぶりだ。

 こうした追い風を背に、さらに付加価値を高めようと考えたのが、竹堆肥の活用だった。県内産地としては先行したが、作付面積では、奥出雲町に追い越された現状に、竹堆肥研究会の平田広文事務局長(67)は「川本のエゴマは大量生産ではなく、高品質を追求すべきだ」とブランドの確立を唱える。

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 昨年10月、研究会に新たな仲間が加わった。川本町でエゴマ栽培に打ち込みたいと、14年3月に千葉県からIターンした柴原信行さん(45)だ。「他産地との差別化が図れる」と独特の農法に関心を示し、今年は、80アールの畑のうち3アールで試している。「将来は、栽培から加工、販売まで手掛けたい」と事業の拡大を見据え、成果を望む。

 釜田会長は「竹堆肥を使う生産者仲間を増やし、地域を挙げて売り出したい」と夢を描き、平田事務局長は「エゴマ栽培の魅力を高めれば、就農希望の若者を呼び込めるのではないか」と力を込める。研究会の9人の中には稲作農家も入っており、米のブランド化にも同様に取り組む。地区の農業振興を竹堆肥に託し、挑戦が続く。

2016年7月29日 無断転載禁止