論語(ろんご)で温故知新(おんこちしん)(46)


【訳(やく)】

 特別なことをするのではなく、それでいて世の中をうまく治(おさ)めたのは、立派(りっぱ)な天子(てんし)(国の君主)として有名な舜(しゅん)だろう。自分を礼儀(れいぎ)正しく保(たも)ちながら、ていねいな態度(たいど)で天子の位(くらい)にいただけだ。


人を引きつけるリーダーの信頼感(しんらいかん)


 「安心して暮(く)らせる世の中であってほしい」と願うのは、昔も今も世界中変わりません。しかし、実際(じっさい)は世の中で、争いや心配事が絶(た)えません。


 ◆義(ぎ)をもって◆

 「南面(なんめん)する」とは天子となって国を治めるということです。

 ところで「改革(かいかく)」とか「進歩」とか、最近よく聞く言葉です。それ自体は悪いことではありません。しかし、かえって以前よりも悪くなってしまったということがよくあります。変わればよいというものでもありません。変わったことはとかく目立ちます。しかし、もっと大事な何かを見ていないと必ず後悔(こうかい)します。

 では、大事な何かとは? 論語(ろんご)では「利(り)」ではなく「義」であると述(の)べています。「今さえよければ」「自分さえよければ」ではなく「人としてあたりまえの生き方」「世のため人のため」という考えが底に流れているのです。空回(からまわ)りした理想論や独(ひと)り善(よ)がりのパフォーマンスであったりするのを孔子(こうし)は嫌(きら)いました。


 ◆信頼(しんらい)◆

 無為(むい)というのは「何にもしない」という意味です。では本当に工夫(くふう)もなく、何もしなかったのだろうか? という疑問(ぎもん)がわきます。

 舜には優秀(ゆうしゅう)な人物がたくさん集まってきました。その中でも特に優秀な家来(けらい)が5人いて、それぞれが自分の役割(やくわり)をきちんとこなしていったという記録(泰伯篇(たいはくへん))が残されています。

 やはり、立派なリーダーには優秀な人物を引きつける何かがあるのですね。リーダーとして心から信頼されていればこそ、人は命をかけて働くということでしょう。

 たとえば、その人がいるだけで何か大きな力が働くということがあります。皆(みな)さんの記憶(きおく)の中にありませんか?

  (私塾(しじゅく)「尚風館(しょうふうかん)」講師(こうし)・小倉雅介(おぐらまさすけ))

2016年8月3日 無断転載禁止

こども新聞