レッツ連歌(下房桃菴)・8月25日付

(挿絵・FUMI)
◎ニッコリとカメラ目線で手は止まり

通りすぎてくベルトコンベア  (浜田)放ヒサユキ

◎ニコニコとトイレ掃除も買って出る

そろそろ書いてもらう内申   (松江)永瀬 秋風

◎筍(たけのこ)が生えてきたのはウチの庭

サンショ散らしてお届けをする (松江)高木 酔子

私のことなのですか先生    (松江)園山 美香

◎三人で割れぬ二円はどうするの

一休さんに聞いてあげます   (雲南)板垣スエ子

財布取り出す越前ノ守     (松江)安東 和実

◎年上も年下もないおおらかさ

保育園児は揃(そろ)っておひるね   (松江)岩田 正之

わが社の自慢テレビで放映   (出雲)石飛 富夫

親方もやるチャンコ当番    (松江)野津 重夫

◎姑(しゅうとめ)はきょうも朝から貝になり

天気予報は雷と言う      (益田)吉川 洋子

相田みつをに心いやされ    (出雲)野村たまえ

はずした入れ歯どこに置いたか (江津)岡本美津子

◎近所中夫婦げんかが知れ渡り

開けっ放しの夏の夜の窓    (江津)江藤  清

オバちゃんみんな妻に味方し  (松江)花井 寛子

あんたの負けと人ごとに言う  (松江)田中 堂太

明るいうちは外を歩けぬ    (松江)本田  章

◎晩酌は豆腐一丁あればいい

小豆島産醤油(しょうゆ)にこだわり    (松江)土江 ユミ

箸は九寸皿は八寸       (大田)山形 俊樹

馴染(なじ)みの店は臨時休業     (浜田)勝田  艶

◎履きなれた靴がよかった旅の空

浴衣姿で街にくりだし     (益田)石田 三章

◎禁漁と知らずに潜る美保関

コトシロヌシの上前をハネ   (松江)三島 啓克

恵比須さまでも竿で釣るだけ  (江津)花田 美昭

◎宍道湖に沈む夕陽の美しさ

豪華寝台瑞風(みずかぜ)が行く      (松江)植田 延裕

花火見たさに早く陣取る    (出雲)栗田  枝

寝坊は知らぬ朝焼けの空    (出雲)行長 好友

ビール電車はきょうも満席   (益田)石川アキオ

二人の影が伸びて消えゆく   (松江)持田 高行

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 やっぱり名裁きなのでしょうか、大岡様。一円でも…。

 富夫さんの句は、作り話だけどリアリティがある。村上龍の暗~い顔がまざまざと目に浮かびます。

 いくらなんでも、親方がチャンコ当番? おおらかすぎます。親方みずからの意志なのか、弟子どもにやらされているのか。いずれにしても、この部屋からまともな力士が育つとは思えません。

 「履きなれた靴がよかった」と後悔するぐらいだから、新調の靴を履いてきたかと思いきや、三章さんは下駄ばきだったのですね。「○○屋」なんて焼印のボーンと入った―。ほんとうは、こんな解説はしてはいけないのですが…。

 それはともかく、現代人にとって、下駄はたしかに、あんまり便利なシロモノじゃない。かといって、浴衣に靴じゃ、やっぱり変でしょう。そこに気がつかないウカツさが、実はこの句の真骨頂!

 沈む夕陽を追っかけて、湖岸を走る豪華寝台―、いいですね。実現すれば、提案者は特別招待? 実現しなければ、…ビール電車で我慢しましょう。

           ◇

 次は、きょうの入選句を前句に選んで、五七五の句を付けてください。

           ◇

 9月第5週のスペシャルの前句は、

  家族にも言えぬ秘密を抱えつつ

 穏やかじゃないですね。でも、なんだかおもしろそう。

 こちらの付句は七七です。

(島根大学名誉教授)

2016年8月25日 無断転載禁止

こども新聞