全米テニス特派員便り 優勝者ボードにも名刻め

センターコート入り口に掲げられている歴代優勝者のボード。文字通り、名を刻む戦いが始まる=ニューヨーク
 今年のシングルス覇者は男女とも昨年から20万ドル増の350万ドル(約3億5700万円)を手にする。1回戦敗退でも4万3300ドル(約440万円)。興行やテレビ放映権などで支えられている、この競技の裾野の広さ、その頂の高さとともに、錦織圭選手の生きる世界の競争のし烈さも感じる。

 半月前まで南米の地で繰り広げられた戦いではトッププロで争うテニス選手と、「四年に一度」の、人生全てをぶつけるような他の競技のアマチュア選手らとの差が、少なからず気になった。

 だが、それぞれ国の威信といった、見えない力をまとった戦いは、積み上げた実績、手にした栄光、名声はかなぐり捨てた、壮絶なものだっただろう。今季最後の四大大会が開幕し、注目度の高さをひしひしと感じるニューヨークで、今はその戦いで得たものの大きさを思う。

 センターコート「アーサー・アッシュ・スタジアム」でれんが造りの門柱のボードに、ダブルスを含めて歴代の優勝者の名が刻まれているのが、ふと目に留まった。比べられはしないが、夏の光を反射したプレートの輝きは、賞金にも、メダルにも代え難い、と思った。

2016年8月31日 無断転載禁止