女子ログ のび太くんの安心材料

 注意欠陥多動性障害(ADHD)があるわが息子、のび太くんの夏休みがやっと終わった。退屈な毎日から解放され、彼の好きな運動会の準備が始まった。始業式の日、先生に応援合戦のダンスのことを聞いて、家に帰るなりパソコンを引っ張り出し、SMAPの曲の動画を見て踊り出した。

 しかし「お母さんこれ踊れる? オレ無理かもしれん。こんな速いの無理!」と、珍しく弱気な発言。そこで「お母さんらの時代の曲だけん踊れるで~」と適当に踊って見せたら、大笑いされた。「お母さんそれダンス? お母さんも中学の時、運動会で踊ったんでしょ。それでいいんだー。だったら俺、大丈夫だわ!」

 私とのび太くんは似ているところが多いからか、彼のやる気スイッチの基準はどうやら私のようだ。できてもできなくても、私がやって見せると、途端に安心する。何か一歩踏み出そうとして弱気になった時、のび太くんは私にそれができたか、できなかったかじゃなくて、一歩踏み出したかどうかを聞いてくる。何かする時、ゴールを定めないところも似ている。

 将来に不安を抱いた時には「まーお前でも生きていけてるんだよな。大丈夫だな」と言う。母親として頼りなく、罪悪感もある。でも、その頼りなさが安心材料になっているところは笑ってごまかすしかない。

  (鳥取県伯耆町・ごま)

2016年9月6日 無断転載禁止