秋山英宏の全米リポート リターンが最大の勝因

 1回戦でカロビッチは大会最多を更新する61本のサービスエースを決めた。そのサーブを攻略したのだから、最大の勝因がリターンにあったことは疑いない。ただ、今後の戦いを見据えた時には、サーブの復調に大きな意味があった。

 過去3戦、サーブで悩んだ。3回戦での第1サーブの確率は、今季の平均を大きく割り込む46%。もともと得意ではないだけに、歯車が狂うと修正に時間がかかる。しかも相手はカロビッチ、サービスゲームを破るのは難しいだけに、自身のサーブの不調は致命傷になりかねなかった。

 この試合の第1サーブの確率は60%。カロビッチはリターンがうまくないが、それにしても、最初の2セット、計10回のサービスゲームで失ったのはわずか5ポイント。この出来には正直、驚いた。白状するなら、試合開始までは心配でならなかったのだ。

 3回戦の後、錦織は「最悪の展開は常に想定している」と話したが、筆者も錦織が甘いサーブをカロビッチに攻められる、最悪の状況を思い浮かべていた。取り越し苦労に終わったのは幸いだった。

 準々決勝では第2シードのマリーと当たるが、サーブの感触を取り戻したのは好材料。錦織が「リターンが一番いい」と警戒する選手だけに、攻撃的な第1サーブ、相手に攻撃を許さない第2サーブが求められる。

 (テニスライター)

2016年9月7日 無断転載禁止