全米テニス特派員便り 新しい歴史の到来予感

男子シングルスの表彰式。特別な日、錦織圭選手のいるコートを思い描いた=11日、ニューヨーク
 9月11日。ニューヨークは特別な日を迎えた。あの日の映像はテレビで何度も見た。15年前、記者は松江市立乃木小学校の6年生だった。錦織圭選手が国内ジュニア3冠を取った年だ。

 ニューヨーク島根県人会名誉会長の狩野務さん(75)と先日訪ねた、世界貿易センタービル(WTC)跡は巨大な滝のモニュメントが建てられていた。新しいWTCも建っていた。

 だが、現場の重い空気は、なければよかった現実も忘れてはならない記憶だ、と教えてくれた。この日、テレビでは朝からずっと追悼番組が流れていた。

 同じ日の男子シングルス決勝。2年前、錦織選手が初めて立った舞台の雰囲気を味わっておこうとスタジアムに行った。今年最後の四大大会覇者を決める戦いはさすがの緊張感があり、それにふさわしい熱戦の末、スタン・バブリンカ選手(スイス)が勝った。

 15年前、小学生だった少年はこの10月でプロ10年目に入る。月日は流れ、新しい、輝かしい歴史がつくられていく予感と期待が膨らんだ全米オープン。この街でもう一つの特別の日は必ずやってくると信じている。大会が終わると、ニューヨークは秋が来るという。

2016年9月13日 無断転載禁止