女子ログ 夏のサンタクロース

 サンフランシスコに住む友人ライアンに会いに行った。彼は担当した企画の失敗を理由に、長年勤めた会社を解雇されたばかりだった。実家に引き返すのだそうで部屋は引っ越し作業がほぼ終わったところ。空っぽの部屋を見ていたら、悲しくなった。

 ところがライアンは妙に晴れやかな顔をしている。聞けば退職後、ファーストクラスの航空券を3枚買い、幼なじみのジェフとその彼女とハワイに行ったのだそうだ。ジェフは長いあごひげにビール腹、Tシャツと短パン姿が夏のサンタクロースを思わせる陽気な人だ。でも実は若い時にがんを患い、その治療費のために自己破産している。

 米国の社会は厳しい。企業は利益優先の成果主義。医療費は高額で、病気になればいつ生活の基盤を失うかわからない。でもライアンは「ファーストクラスに座る場違いなジェフを見せたかったよ」と笑っていた。米国人って本当にポジティブだ。どんな苦難も笑いに変えてしまう。

 なぜだろうと疑問だったけど、きっと彼らは何かを失ってもブレない「自分」があって、だから前向きでいられるのではないかと思うようになった。私もいつもポジティブでいたいけど、ブレないって案外難しい。とりあえず、心が折れそうな時にはファーストクラスに座る夏のサンタクロースを思い浮かべて元気をもらおう。

 (雲南市出身、丸亀市在住・ゆかりんご)

2016年9月24日 無断転載禁止