(21)津和野町青原地区(上) 買い物支援バス

買い物バス事業を活用して購入した商品を運んでもらうお年寄り(左)
要望把握し安心感提供


 10人乗りのワゴン車の出迎えに、お年寄りたちが三々五々集まり、同乗して買い物に出発する。食料品や日用雑貨品を買い込み、帰路の車内には満足そうな笑顔があふれる。

 津和野町青原地区で毎月1回運行している「買い物バス」。自治会に当たる青原共同会と、福祉事業を担う青原地区福祉会が連携し、町社会福祉協議会から車を無償で借り、地区中心部から北へ約7キロ離れた益田市内のスーパーとホームセンターを巡る。利用者の負担は1回100円と割安。平均7、8人が活用している。

 9月の運行日の21日も、同福祉会の大庭清文事務局長(65)がハンドルを握り、お年寄りが続々と乗り込んだ。運転免許を返上したという三ツ橋元枝さん(84)は常連で、メモを手に買い忘れがないように店内を回り、「自前の足がないので、とても助かっている。宅配と違い、店で商品を選べるのが楽しい」とほほ笑んだ。

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 高津川の舟運の要衝で、津和野城下町から浜田藩領に通じる山陰道の宿場町として栄えた青原地区。参勤交代の一行を出迎える儀式を再現した伝統行事「青原奴(やっこ)道中」に往時の名残をとどめている。

 しかし、過疎化の進展で、2016年8月末の人口は306人。1972年9月の346人から10%以上減り、身近な買い物ができる商店も、地区内からなくなってしまった。

 こうした状況に同福祉会が2014年度、住民を対象に、住みやすい地域づくりへの要望を聞く調査を実施した。「買い物が不便」「買い物支援を充実させてほしい」などの意見が多く、発案したのが「買い物バス事業」だった。

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 買い物弱者対策の素地はあった。買い物バス事業に先立ち、同福祉会が町社協の助成事業を活用し、益田市内の大型店や電器店、ドラッグストアなどを巡回する「買い物ツアー」を12年10月から手掛けていた。

 青原公民館発着で、利用者の負担はなし。ワゴン車を無償で借り、同福祉会が運転や付き添いなどを担当する。1回平均で約20人が利用するなど好評で、年3回の恒例になっている。

 同共同会と同福祉会の両方で会長を務める三浦英治さん(58)は「調査の結果で分かった住民の不安感を取り除こうと考えた」と、「買い物バス事業」を付け加えた経緯を振り返る。16年3月には利用者アンケートも実施。「ニーズに合わせながら事業を続けていきたい」と意気込む。

 商業機能が衰退する中山間地などでは、買い物弱者対策は大きな課題。住民組織による交流センター内での店舗運営など、さまざまな取り組みが生まれている。青原地区の事業もモデルケースの一つといえる。

2016年9月29日 無断転載禁止