(22)津和野町青原地区(中) 特産振興

クリの木の生育具合を確かめる石川敏明組合長(左)と平野均副組合長。運営する農事組合法人の新たな産品として期待を掛ける
 クリの産地化 魅力広める

 津和野町添谷のJR山口線東青原駅から南東に約500メートル離れた0・7ヘクタールの畑に、クリの木約190本が並ぶ。植えたのは、地元の農事組合法人そえだに。管理している農地は全体でも6ヘクタールで、規模の小ささは県内でも際立っている。

 今年3月に植えた苗木は枝を横に広げ、緑の葉を付けたものも出始めた。9月下旬、生育具合を確かめに訪れた石川敏明組合長(67)と平野均副組合長(62)は木々を念入りに観察し、「モモクリ3年といわれる収穫時期が待ち遠しい」と顔を見合わせた。

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 そえだには、小区画で形が整っておらず、水路の老朽化など課題を抱えていた農地が県の事業でほ場整備されたのに合わせ、2015年3月に設立した。遊休農地の増加を防ごうと、「みんなの力で農地を守ろう」を合い言葉に住民15人が集まり、農地中間管理事業を活用して集積を進め、主食用米と飼料用米を主要作物と位置づけた。

 クリの栽培を思いついたのは、設立から半年が過ぎた15年秋。島根県津和野町は県内最大の産地だが、生産者の高齢化や後継者不足などで、1970~80年代に年間約100トンを誇った生産量は2014年に13トンまで減少。町や生産者組織、商工団体でつくる「津和野栗(ぐり)再生プロジェクト推進協議会」が、15年7月に活動を始めたのに呼応した。

 クリは、和洋菓子の原料など加工品としての用途もある。平野副組合長は「主要作物として手掛け、6次産業化にも取り組みたい」と意欲を示し、石川組合長は「添谷を一大産地にしたい」と夢を描く。栽培管理の負担を減らそうと、水田だった平地を活用するなど知恵を絞った。土壌改良や水はけの改善など課題はあるが、クリにかける思いは熱い。

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 同町青原の国道9号沿いで、木造平屋の真新しい建物が、10月15日のオープンを待っている。平野副組合長が役員を務めている運営会社が開店する産直市「高津川マルシェ」。地元産の米や新鮮野菜、ブルーベリーの加工品などに加え、季節に応じてアユやツガニといった清流の恵みも扱う。

 「津和野ならではの産品をそろえ、魅力を広めたい」と話す平野副組合長。ゆくゆくは、そえだにが手掛けるクリやアスパラガス、ワサビなども売り出したい考えで、多彩な農水産物が並ぶ店頭のにぎわいを思い浮かべる。

 地区内で進むクリの産地化や地元産品の販売拠点の整備。特産品開発や販売促進に向けて相次ぐ新たな取り組みに期待が集まる。

2016年9月30日 無断転載禁止