仕事みてある記 「大切な人を幸せに」気持ちを込め生地作り 

「自分でおいしそう、食べたいな、と思った時がいいパンが焼けた時」とパン作りに情熱を燃やす末広雅俊さん=松江市大輪町、パンびより
 パン職人

   末広 雅俊(すえひろ まさとし)さん (松江市大輪町)



 「大切な人に喜んでもらえるパンを作りたい」。松江(まつえ)市大輪(だいりん)町で「パンびより」を経営(けいえい)しているパン職人(しょくにん)、末広雅俊(すえひろまさとし)さん(36)は「お客さんから『おいしかったよ』と言われるひとことが何よりうれしいものです」と、早朝から骨身(ほねみ)を惜(お)しまず働いています。


 小麦粉に水、パン酵母(こうぼ)、塩、砂糖(さとう)、バター、卵(たまご)、牛乳(ぎゅうにゅう)などを入れ、こねます。酵母の働きで発酵(はっこう)させて生地(きじ)を膨(ふく)らませ、分割(ぶんかつ)します。しばらく休ませた後、丸めたり棒状(ぼうじょう)にしたりと成形し、最終発酵させます。

 一般(いっぱん)的に、小麦粉100グラム当たり水65~70グラム、塩2グラム、酵母0.5~0.7グラムなどですが、毎日の天気、温度、湿度(しつど)により微妙(びみょう)に調整。生地を分割したときの内部の温度が27~28度になるように、水は夏は冷ため冬は温かめ、小麦粉の温度にも気を配ります。

 「材料の分量を間違(まちが)えると、取り返しがつきません。酵母は生きもの、温度などで働きが違ってきますので、生地作りが一番大切だと思います」

 次は焼く作業。パンの種類ごとに、オーブンの上と下の両面からの温度や時間を設定(せってい)しスイッチオンです。

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 福岡(ふくおか)県北九州(きたきゅうしゅう)市出身。高校生の時に友達と、たまたま立ち寄(よ)ったパン屋さんのパンが、とてもおいしく「このパン屋さんで働きたい」と思いました。卒業後、広島にある同店の系列(けいれつ)店に就職(しゅうしょく)、15年間修行(しゅぎょう)を積(つ)み、奥(おく)さんの出身地・松江で店を開きました。

 午前4時半、一日が始まります。フランスパンの生地をこねるのを手始めに毎日、食パンや菓子(かし)パン、惣菜(そうざい)パンなど40~50種類を作ります。午前9時の開店時には、そのうち6割程度(わりていど)を店頭に並(なら)べるように準備(じゅんび)します。

 その後は昼食向けの惣菜パン作りや売れ行きもみながら、焼き立てを提供(ていきょう)できるよう、一日2~3回、焼いていきます。

 「自分でおいしそう、食べたいな、と思った時が良いパンが焼けた時」「パンも生きもの。毎日違うところが面白く、やりがいです」。一日中立ち仕事、調理器具は重く材料の運搬(うんぱん)など力仕事もありますが「職人としてつらいと思うことはありません」と言い切ります。

 甘(あま)い香(かお)りを漂(ただよ)わせてパンが焼きあがります。お客さんが来店しました。「いらっしゃいませ」


★メッセージ

 おいしいパンを作ることで少しでもハッピーな気持ちになってもらえると思っています。本当に好きなことを見極(みきわ)めて、周りの人も幸せを感じてもらえる仕事なら、挑戦(ちょうせん)した方がいい。仕事には多くの時間をさくわけですから、好きなことをやるのが一番、と思います。

2016年10月5日 無断転載禁止

こども新聞