映画プロデューサーのささやかな日常(42)

東京・恵比寿にある銭湯「改良湯」
 一時間だけのバカンス

   銭湯でリフレッシュ


 先日、東京都の小池百合子知事は職員の超過勤務を縮減するため、10月中旬から午後8時以降の残業を原則禁止する、と発表しました。知事は、仕事より育児や介護など家庭生活を大切にする「ライフ・ワーク・バランス」を掲げ、仕事の効率化に取り組み、早く帰ることを競い合う風土に変えていってほしい、と語ったといいます。

 そんな社会の機運もあり、今月からわが社の松竹でも、ついにフレックス出社がテスト期間としてスタートしました。出社と帰社の時間を個個人で判断し、より効率よく働くこと。それを通じて、仕事を含めより自分らしい生き方をしていくことが重要なのでしょう。

 しかし、正直なことを言うと、今までの僕は仕事以外のことを考えるのが苦手でして、プライベートな時間の有効な使い方を模索中であります。例えば夜は普段は会わない異業種の人たちと会って、お酒を酌み交わしたりなどといった、まぁ平凡な生活だったのですが…。

 そんななか、ふと思いついて「銭活(せんかつ)」なるものを始めました。その意味は、ずばり「銭湯」に行くこと。都内の銭湯の料金はたった460円。わずか1時間でリフレッシュすることができます。最近リリースされた宇多田ヒカルさんの楽曲にひっかけて、「一時間だけのバカンス」と呼んでいます。

 「銭活」は誰かと待ち合わせたり、時間を調整する必要もないので、ストレスフリー。自分でコントロールできるのが大きなメリットのひとつ。とくにこの仕事は、脚本家や監督、俳優の事務所などに出向き、先方と打ち合せが終わるとすでに午後8時…など夜遅くになることがしょっちゅうです。結局、そこから直接帰宅する「ノーリターン」が多いので、行った先々で近くの銭湯を調べて、向かうのです。スマホで検索すれば、現在地から最も近い銭湯をすぐに見つけることができます。この夏から始め、すでに都内で5軒ほど巡っていますが、まだ毎回入り方を試行錯誤中です。

 現状の流れとしては、まずはシャワーで一汗流し、普通のお風呂へ。ある程度あったまったら水風呂へ。ここはさっとつかる程度で、サウナに向かいます。サウナの素晴らしさにも最近気づきました。前日飲んだお酒も汗になって出ていくようです。その気持ちよさといったら、例えるものがありません。

 時に面白いのは、サウナの中では地元のおじさんたちのうわさ話を聞くことができること。今まで経験したことのない「裸と裸のつきあい」や「意外性のある出会い」もこれから待っているかもしれません。たまに1人でふらっと銭活。ますますはやるのではないかと勝手に思っています。皆さまもぜひやってみていただければ。

 ここ数回、映画の話とは遠ざかっていますが、それもこれも仕事の「種」と思っています。みなさんにはどんな「種」がおありでしょう? どうぞご容赦願えますよう。

 (松竹映像本部・映画プロデューサー、米子市出身)

2016年10月14日 無断転載禁止