女子ログ おにぎらず

 少し前、「おにぎり」ならぬ「おにぎらず」という食べ物が話題になった。ラップの上にのりを広げ、ご飯と具をのせてのりの四隅を畳み、半分にカットするあれだ。具は梅干しなどおにぎりの定番だけでなく、ソーセージにいり卵、豚カツにツナサラダ、何でもありで見た目もカラフル。いわば「パンの代わりにご飯とのりを使ったサンドイッチ」だ。

 子どもの頃、私は両親が仕事を終えるまで、知り合いのおばちゃんの家に預けられていた。料理上手なおばちゃんは、下校すると必ずおやつと夕食を出してくれた。一番好きだったのが、おにぎりだ。ガス釜で炊きたてのご飯に手塩をつけ、赤くひび割れた頑丈な手で握っては「ほい、食べなさい」と渡してくれる。三角というより丸に近く、テニスボールぐらいありそうで、真っ白でツヤツヤ光っていた。両親の迎えを待ちわびる小学生にとって、あれほど温かくておいしい食べ物はなかった。

 「おにぎらず」もいいけれど、手が汚れない、簡単、見た目がきれい、なんて理由だけでもてはやされているなら、ちょっと寂しい。すしチェーンもコンビニおむすびも、人の手から手へ渡されることのない「おにぎらず」だ。そんなことを考えながら、早朝、稲刈りに出かける夫に弁当を渡した。われながら不格好な「おにぎり」である。

 (大田市・ぽのじ)

2016年10月15日 無断転載禁止