紙上講演 気象予報士・防災士 斎藤 義雄氏

気象予報士・防災士 斎藤義雄氏
 異常気象と私たちの暮らし

   災害発生冷静に対処を

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が17、18の両日、浜田市と益田市であり、気象予報士・防災士の斎藤義雄氏(60)が「異常気象と私たちの暮らし」と題して講演し、災害時に根拠のない思い込みや周囲への同調に陥らず、適切な判断と行動を取るよう呼び掛けた。要旨は次の通り。

 「100年に1度の災害」という表現を聞くが、もっと頻繁に発生すると考えておいた方がいい。自分が生きている間は起きないと思いがちだが、それは違う。

 土砂災害の前兆には、山の斜面から水がにじみ出たり、小石が転げ落ちたりすることのほか、地盤がずれるような音や水が腐ったような臭いがある。都市型水害では、風呂場や洗濯機の排水溝、ドアの隙間から浸水しやすい。ごみ袋などで作った水のうを重しにすれば、ある程度防げる。

 地球温暖化は間違いなく進んでいる。浜田市の年平均気温は15・5度だが、1、2度上がると、南九州のような気候になる。農業にも打撃を与え、西日本ではミカンが作れなくなる。さらに進めば赤痢、コレラ、デング熱など熱帯性の伝染病が増える。

 落雷は、日本で毎年10人前後が亡くなる大きな災害だ。実験で、金属ではなく、素材は何であろうと出っ張っているものに落ちやすいことが分かっている。木の下に入っても、木に落ちた雷が人体に伝わる「側撃雷」があり、4メートル以上離れないと危ないという。

 人間は災害時、根拠もなく「自分は常に安心だ」という「正常性バイアス」、周囲と行動を共にしてしまう「多数派同調バイアス」にかかってしまい、必要な避難をせずにその場にとどまったり、正しい判断ができなかったりする。二つのバイアスを排除しないといけない。

2016年10月19日 無断転載禁止