(25)浜田市安城地区(中) 地域を伝える

地域のガイド冊子「弥栄ぶっく・まっぷ」と郷土本「矢懸の里」を開く安城地区まちづくり推進委員会のメンバー
 特色や魅力刊行物で発信

 豊かな自然を想起させるライトグリーンの表紙には、浜田市弥栄町での田舎暮らしの魅力を伝える温かなイラストが描かれ、ページを開くと、田囃子(たばやし)や秋祭りの神楽など四季折々の行事を切り取った写真が目に留まる。保育園や小中学校、災害時の避難所がひと目で分かる地図もある。

 同町の安城(やすぎ)地区まちづくり推進委員会が発行したガイド冊子「弥栄ぶっく・まっぷ」(A4判カラー、28ページ)。町内の約700世帯に全戸配布し、ふるさと島根定住財団などがU・Iターン希望者向けに県外で開く定住フェアなどでも無料で配る。2016年3月に3千部製作したが、残りは既に1千部を切った。

 同委員会のメンバーら11人が「年間行事」「郷土料理」「今昔マップ」の3班に分かれ、12年度から4年間かけて取材や編集作業に注力。事業費150万円は、市からの「まちづくり総合交付金」で賄った。

 「当初は地元住民向けを想定していたが、町外の人にも関心を持ってもらえるように内容を工夫した」と振り返るのは、事務局員として編集に携わった弥栄自治区定住サポート推進員の湯浅みどりさん(52)。弥栄暮らしへのひと言アドバイスや方言の解説も盛り込み、定住増に向けたツールの役割も持たせた。

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 安城地区の住民でつくる「弥栄ふるさと伝承同好会」が、約10年にわたる活動の集大成として製作した郷土本「矢懸(やかけ)の里」の発行も、同委員会が担った。同好会の会員19人が、古老への聞き取りや現地取材、毎月1回の打ち合わせなどを積み重ねた労作は、地域の歴史や文化の再発見、子どものふるさと教育の充実につながると考えたからだ。

 里山の年中行事や葬儀のしきたり、木炭生産などをまとめた「生活編」と、地区内16集落の伝承や史跡、寺社などを紹介した「集落編」は、いずれも200ページを超える内容。15年4月に100セット作り、町内の小中学校や集会所などに配布した。200セットを増刷し、1セット5千円(税込み)で販売もしている。

 同好会の発足呼び掛け人の森川学さん(76)は「地元の記録を後々まで残したいという気持ちで活動を続けた。発刊で世に出すことができてうれしい」と喜ぶ。

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 ガイド冊子と郷土本の双方の発行を手掛けた同委員会前会長の徳田哲治さん(60)は「地域の特色や魅力を伝える成果が、形になったと思う」と話し、一層の活用を望む。相次いで発行した刊行物には、安城への関心を高め、愛着を深めてもらいたいという期待が込められている。

2016年11月2日 無断転載禁止