(26)浜田市安城地区(下) まちづくりの議論

計画策定に向け、地域課題を挙げて議論する安城地区まちづくり推進委員会の委員たち
 官民連携計画策定に尽力

 「地区内の保育所や小学校が将来も残るだろうか」「車を運転できないお年寄り向けに、通院や買い物に便利な交通手段があるといい」

 浜田市弥栄町の安城(やすぎ)地区まちづくり推進委員会が10月20日夜、同町長安本郷の弥栄会館で開いた定例会議で、委員10人が多岐にわたる地域課題を出し合った。

 同委員会は2016年4月、委員の変更に伴い新体制となり、活動の目標や具体策を定める5カ年の「まちづくり計画」を更新することになった。「弥栄のこれからのはなしをしよう」を合い言葉に8月から毎月1回、話し合いの機会を設けている。

 この日の意見交換では、他にも、地区中心部に商店や交流スペース、交通機関の発着場所などを集約する拠点づくりや、住民自らが地域資源を生かして稼ぐスモールビジネスの創出など多彩なアイデアを提案。課題解決や活力創出に向けた委員の関心の高さが、活発な議論に表れていた。

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 背景には、安城地区の厳しい現状がある。浜田市と旧那賀郡4町村が合併した05年10月には980人だった地区の人口は、16年10月には781人と20%も減少し、高齢化率は45%を超えた。医療機関がなくなり、商店も減るなど生活機能の脆弱(ぜいじゃく)化が進む。

 弥栄町全体を見ても、旧那賀郡の他地域と比べて人口は最少で、高齢化率の高さが際立つ。合併後の地域振興を支えてきた自治区制度も、市は19年度末での廃止方針は見送ったが、20年度以降について再検討の意向を示すなど、将来の継続は見通せない。

 「自治区制度がなくなれば、地区の活力がさらに失われていくのではないか」と危惧する同委員会の小松原峰雄会長(70)は「住民自身が知恵を出し、行動しなければならない」と考える。

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 住民主体の計画策定には、官も加わっている。毎月の会議には、市弥栄支所の職員をはじめ、県中山間地域研究センターのスタッフも参加。同センターは、中山間地域の現場支援に力を入れており、以前から課題解決に向き合ってきた安城地区にも目を配る。

 始まったばかりの議論に、同センターの安部聖・専門研究員(46)は「住民が広く、問題意識や地域の将来像を共有できる計画になるといい」と期待を込めた。

 危機感をばねに、官民連携でまちづくりの新たな青写真を描き始めた同委員会。中山間地での暮らしを支える計画づくりに力を注ぐ。

2016年11月3日 無断転載禁止