女子ログ 青い本殿の下にて

 昨年、出雲大社で11月14日の世界糖尿病デーにちなんだ「ブルーライトアップ」というイベントが初めて開かれた。ポスターに描かれた青く幻想的に浮かび上がるご本殿の姿に心ひかれた。祖父の看護や家族の世話に追われていた実家の母を息抜きがてら誘い、2人で出かけた。電話をすると時折、切羽詰まった声をしていた母に、上を向いて、心を軽くしてほしかったのだ。

 拝殿の前で丹精込めて育てられた懸崖の菊が、華やかに迎えてくれた。夜のとばりが降りる頃、雅楽演奏の笛の音に合わせ、点灯ボタンが押された。ずっと降っていた小雨が、この時にはやみ、闇からゆっくりと勇壮な御本殿が浮かび上がった。歓声とともに拍手が起きた。ご本殿は映画「もののけ姫」に出てくる「だいだらぼっち」のように、今にも動きだしそうだった。母も「ひゃぁ~」と甲高い声を上げ、目を真ん丸にし、瞳を輝かせていた。

 しばらく見入っていたら、母が記念に写真を撮ると言うので、スマホを渡した。ご本殿をバックに、私は「団結」の意味を持つ世界糖尿病デーのロゴマークの円を右手でつくってポーズを取った。普段ガラケー使いの母は苦労しながら撮ってくれた。写真の中の私はブレていたけれど、笑顔だった。

 お互いを思う優しさが、心にこだましたひとときだった。

 (出雲市こいちゃん)

2016年11月23日 無断転載禁止