紙上講演 精神科医 須貝 佑一氏

精神科医・須貝佑一氏
 今日からできる認知症予防

  体動かし食事に気配りを

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が7、8の両日、浜田市と益田市であり、精神科医の須貝佑一氏(71)が「今日からできる認知症予防」と題して講演し、食生活や運動など生活習慣に気を配ることが予防につながると説いた。要旨は次の通り。

 老化と違い、脳の病変で起きる知能低下を認知症という。現在、460万人の患者がおり、10年後には730万人に増えるという推計もある。80代以上に多く、女性がかかりやすい。夫が妻に付き添い、診療に来る事例が増加している。超高齢化社会は、男性が女性の認知症を看(み)る社会をイメージしないといけない。

 認知症の60%がアルツハイマー病で、20%が脳梗塞や脳出血などの後遺症の血管性認知症。アルツハイマー病は、脳にアミロイドβタンパクという物質がたまる病気で、これが神経細胞を壊すのが原因と考えられる。ワクチンが盛んに開発されたが、どれも芳しい効果は上がっておらず、治療は困難な状態だ。

 予防に勝る治療はない。高齢者の追跡調査で生活習慣が影響していることが示されている。食べ過ぎは良くない。高カロリーの人は発症の確率が高まるので、腹八分を勧める。魚食は予防に効果的で、ドコサヘキサエン酸(DHA)が神経細胞に作用し、発症の確率を減らす。エゴマ油やココナツ油も良い。

 野菜や果物も効く。酒も適量であれば良いというデータが出ている。特に、ポリフェノールを含む赤ワインに効果がある。日本人は1日1・5杯程度が適量。挙げていくと、魚や野菜を多く使う地中海料理が望ましいことが分かる。

 運動も大事。散歩より少しきつい程度の運動を30分以上、週3回以上するとリスクが半減する。新聞を読んだり、博物館を訪れたりして頭を使うのも効果的。キーワードは、頭を使い、体を動かし、食事に気を配る。この三つを組み合わせれば、認知症になりにくい体質になる。

2016年12月9日 無断転載禁止