女子ログ 使命

 先日、介護保険の話をしに実家に帰った時のこと。用件が済むと、父が昔話を始めた。父は長崎県出身の84歳。原爆投下の瞬間を目撃している。

 この日は予科練少年飛行兵の話だった。白地に七つの金ボタンが輝く軍服に憧れ、当時の少年たちは入隊試験を受けたという。試験では、大きな円盤の真ん中にある軸につかまり、クルクルと3分ほど回転させられ、止まってフラフラせずに立っていられたら合格というのがあったらしい。他にも科目はあったろうが、「円盤試験」は印象深かったのだろう。

 飛行兵の訓練は厳しかったという。手旗信号を10人1組で覚え、一斉に行い、1人でも間違えたら連帯責任。全員が罰を受ける。飛行訓練で乗ったのは「赤トンボ」と呼ばれるプロペラ機で、その時、平らな小石を白いペンキで塗り、自分の名前を記入したものを持ち込んだそうだ。飛行中に自宅上空にきたら石を投下し、下にいる身内はその小石が降ってくるのを楽しみにしていた。その小石が名誉の証しだったらしい。

 前は思い出すのもつらかったそうだが、最近は原爆や飛行兵の話をよくするようになった。それが戦争の時代を知る者の使命なのだという。安倍総理の真珠湾訪問が近い。戦争を知る高齢者がその経験を安心して次世代に委ねられる世界になってほしい。

   (鳥取市・DJレイ)

2016年12月16日 無断転載禁止