世事抄録 原発廃棄物埋め捨ての怪

 世の中が目に見えて狂い始め、「年忘れ」のような仕舞が似合わぬ時代になったが、新聞の年末回顧に倣って最後っ屁(ぺ)を一つ…。

 ことし最も驚いたのは原子力規制委員会が8月末、原発廃炉の危険な廃棄物のうち放射能レベルが高い制御棒などの処分について、(1)地下70メートル以上に埋める(2)電力会社に300~400年管理させる(3)その後は国が引き継ぎ10万年掘削を制限する、という基本方針を決めたことだ。既に使用済み核燃料のような超高レベルは300メートルより深くする、としている。

 正気なのか? 決定直後から「400年前といえば真田丸のころ。電力会社は不滅かよ」「10万年も動かない地層が日本にあるのか」と疑問が噴出したのは無理もない。規制委が原発推進を白状したようなもので、後は野となれの埋め捨てにする幼稚さに言葉を失った。原発は「トイレの無いマンション」と呼ばれてきたが、持ち主や専門家と称する人々がこれほど短絡的だとは。

 話はこれで終わらない。福島第一原発の廃炉と賠償費用が経産省試算で21・5兆円に膨らむ中、世耕大臣は「発電コストは原発が一番安い」とうそぶいた。世論操作の天才を自負するだけあって、嫌がられる国民負担を増やす議論の目くらまし。さて、せいぜい稼働40年程度の“原発遺跡群”が苔(こけ)むすころ、ツケを回された子孫らはどんな伝説を語るだろう。(松江市・風来)

2016年12月18日 無断転載禁止