(84)衣毘須神社(益田)

益田市小浜町の宮ケ島に鎮座する衣毘須神社。普段は地続きだが、海が満潮でしけたときには孤島となる
満潮時浜が姿消し島に

 益田市小浜町の衣毘須(えびす)神社は、豊漁や海の安全を守護する事代主命(ことしろぬしのみこと)を主祭神とし、小浜海岸から日本海に突き出た岩礁・宮ケ島の頂上に鎮座する。普段は地続きだが、満潮で海がしけたときには島となることから、フランスの世界遺産・モンサンミシェルに重ねる向きもある。

 1867(慶応3)年、後背地の海龍山から遷宮され、93(明治26)年に社殿が再建されたと伝わる。東に高島、西に三生(さんしょう)島を望む眺望の良さで知られる。

 鳥居や灯籠は、豊漁を祈願する氏子たちが奉納。漁業で栄えた地域の歴史を物語る。

 例大祭は7月。海風が吹き付けるため、25年に一度の式年大祭の時に社殿の修繕を重ねている。直近では2011年7月に375年式年大祭を執り行い、その際に奉納された石碑が境内に立つ。

 「近年、テレビ番組などで相次いで取り上げられたことがきっかけで、若い女性たちが訪れるようになった」と、地元・小野地区振興センター(益田市戸田町)の堀部利幸センター長(62)=益田市小浜町=は語る。

 堀部さんによると、宮ケ島にはかつて、樹齢100年を超す黒松が林立していたが、30年ほど前、松くい虫の被害で枯れてしまい、現在も松の植樹が続けられているという。景観復活への地区民の思いは熱い。

 宮ケ島のすぐ東の海岸沿いには、腹ばいになった猫のように見える岩礁「猫島」もある。日本画の巨匠・東山魁夷が、1960年にスケッチに訪れたという景勝地だ。

 子どもの頃から、小浜の海岸は遊び場だったという堀部さん。参道の砂浜を歩きながら「多くの人に、小浜の海の魅力を知ってほしい」と話した。

2016年12月22日 無断転載禁止