レッツ連歌(下房桃菴)・12月22日付

(挿絵・Azu)
◎飛行機と電車とバスと乗り継いで

親父(おやじ)と兄貴とオレと餅つき   (益田)石田 三章

通勤時間は片道四時間     (松江)植田 延裕

秘湯のそばにできたコンビニ  (松江)土江 ユミ

きょうから世界一周の旅    (益田)吉川 洋子

一番乗りで買う宝くじ     (松江)高木 酔子

意外にバレぬ子供料金     (松江)山崎まるむ

歌手と握手はほんの一瞬    (雲南)妹尾 福子

◎五百万借りてそのまま五十年

ジャンボ当たれば返す約束   (松江)野津 重夫

お彼岸の日はお花供えて    (江津)花田 美昭

◎また抜けた頭をそっと撫(な)でながら

鳥居の前で軽く脱帽   (兵庫・明石)折田 小枝

横目で睨(にら)む十六島海苔(のり)     (益田)石川アキオ

孫は張子の虎振り回し   (出雲)はなやのおきな

◎鬼の顔して玄関に立つ女房

金属バット手に握りしめ    (出雲)行長 好友

オレオレ詐欺がいま来るという (川本)高砂瀬喜美

かわいい孫に豆まきをさせ   (松江)花井 寛子

◎武士という名に生命(いのち)かけ今日も行く

息子はどげな思いだらあか  (奥出雲)松田多美子

後ろ姿をじっと見つめる    (雲南)小田川岩成

◎年金もそろそろ底をつきはじめ

弁当持って通う図書館     (出雲)栗田  枝

次のカモへと目標を変え    (飯南)塩田美代子

サプリメントが次々と増え   (松江)川津  蛙

胸を張れない長寿王国     (松江)三島 啓克

九十歳の何がめでたい     (出雲)矢田カズエ

◎軽トラに御輿(みこし)は積んで練り歩き

テープの声でワッショイワッショイ

               (松江)田中 堂太

◎昼前に完売となる手打ち蕎麦(そば)

水も空気もうまい山里     (益田)可部 章二

山道急ぐハーレーの群れ    (益田)黒田ひかり


          ◇

 時間ももったいないけれど、お金がもっともったいないですね、延裕さん。ところで、飛行機に定期券はありますか。

 秘湯のそばにコンビニができたら、…けっこう重宝するかもしれない。なんにしろ、自然を求めて飛行機や電車を乗り継いできたのですから、そうそうワガママは言えません。

 おきなさんの句は、髪の毛じゃなくって、頭そのものがスポッと抜けたのですね。びっくりしました。

 寛子さんも意外なところを突かれました。孫が喜ぶ鬼の顔―、おみごとです。

 多美子さん、それから岩成さんの句を見て、南スーダンに派遣された自衛隊員の姿が、フッと頭をよぎりました。私が過敏になっているだけでしょうか。

 軽トラの御輿が寂しいからって、テープのワッショイは、よけい寂しいじゃないですか、堂太さん。…安倍総理には、地方創生にこそ本腰を入れていただきたいものです。

          ◇

 「思いもよらず猿と出くわし」から始めた、連句形式のこのシリーズ、ここで一旦(いったん)ケリを付けて、来年はまた新たな前句から始めます。

  いろはかるたに知恵を授かり

 いろはかるたも、最近はほとんどやらなくなりましたが、含蓄のある警句がたくさん採られております。年に一度は思い出してみましょう。

 いわゆる「江戸いろは」のほか、京、大阪などのバージョンもありますが、どれをイメージされてもけっこう。この前句に、まずは五七五の句を付けてください。

         ◇

 では、みなさん、いいお年をお迎えください。

 あ、29日のスペシャルをお忘れなく―。

            (島根大学名誉教授)

2016年12月22日 無断転載禁止

こども新聞