レッツ連歌スペシャル(要木木純)・12月29日付

挿絵・FUMI
 今年もまもなく終わりますね。それで今回の前句は、

 あなたまかせに暮らす年の瀬

でした。一茶の

 ともかくもあなたまかせの年の暮

を七七に変えてみました。一茶の方は、阿弥陀仏にすべてお任せするしかない(他力本願)という、宗教的で深刻なものですが、他人の力に頼ってなんとか歳末を過ごしているというぐらいの意味で受け取ってください。

 歳末の風物詩をすなおに取り合わせれば、不思議と付いてしまいます。ただ、「年」(「歳」も)という字は「年の瀬」と重なるので避けてください。前句と同じ字や言葉を使うと発想が停滞してしまうからです。

うとうととテレビの前でこたつ守(も)り

               (美郷)源  瞳子

紅白は横文字並ぶ歌手ばかり  (浜田)山崎 重子

まずまずでまあよかったと蕎麦(そば)を茹(ゆ)で

               (出雲)伊藤 玲子


 大掃除を怠けるぐうたら亭主も、歳末の風物詩といえば風物詩。連歌の世界にぴったり。

言われなきゃ結局やらぬ大掃除 (浜田)放ヒサユキ

大掃除古新聞を読みふけり   (出雲)石飛 富夫

 こいつらは、怠けるだけではなくて、内心後ろめたいのか、口答えもするので、本当に腹立たしい。

世話焼きの亭主を持ったありがたさ

               (出雲)行長 好友

手出し無用生兵法はケガのもと (出雲)矢田カズエ

 奥さんではなく、ぐうたら亭主自身の言葉でしょう。憎しみがつのりますね。もう大掃除なんかいやだ。

思い切り主婦の座嫁に明け渡し (出雲)原  陽子

掃除ロボスイッチ入れてディズニーへ

               (出雲)米井  薫

お掃除もおせち作りもロボットで(松江)河本 幹子

 人任せばかりにしていると…

だんだんと母さんの目がつり上がり

               (出雲)野村たまえ

長男の嫁の気持ちも知らないで (安来)根来 正幸

 歳末といえば、借金の返済も滞りがち。それなのに、新年に向けて、つい、浪費してしまう。人任せにしているからこんなことになるんです。

悪いけど逆立ちしても血は出ない

           (広島・北広島)堀田 卓爾

宵越しの金は持たない三代目  (江津)岡本美津子

通帳もハンコもみんな管理され (松江)佐々木滋子

日に三度お神酒をあげる宝くじ (益田)石田 三章

宝くじに当たった夢を見続けて (益田)竹内 良子

気をつけて予算オーバーせぬように

               (大田)大谷  勇

居心地の良さか貧乏神同居   (雲南)横山 一稔

 「年の瀬」の「瀬」から「海」を連想して作った次の句も、何となく付いていて面白い。

海凪(な)いだ乗って下さい大船に  (出雲)三島リチエ

のんびりと釣糸たらす日本海     (川本)光田モトヱ

 その他私の気に入った句です。

誰か来た足で知らせる掘り火燵(ごたつ)(飯南)塩田美代子

ぶらぶらと金魚の糞(ふん)もあと三日 (松江)田中 堂太

オレオレも夫が出ればすぐ切られ(益田)石川アキオ

なんとなく切れそで切れぬ赤い糸(江津)花田 美昭

新しい電子レンジは伝授済み  (雲南)錦織 博子

プロ野球契約を待つ二軍半   (松江)三島 啓克

雨の日に菅笠(すげがさ)かけたのワシですよ(美郷)芦矢 敦子

免許証返して肩の荷が下りる  (松江)岩田 正之

寅さんにそっくりさんの僕のパパ(浜田)勝田  艶

 皆さまのご投稿のおかげで、今年の本欄もますます盛り上がりました。今後ともよろしくお願い申し上げます。よいお年を。

来年もあなたまかせのレッツ連歌スペシャル(字余り)

            (島根大学法文学部教授)

2016年12月29日 無断転載禁止

こども新聞