(85)波佐の山村生活用具(浜田)

県の有形民俗文化財に指定されている「波佐の山村生活用具」
伝統的な食生活伝える

 石見地方の農山村で使われていた食品製造や貯蔵、調理などに関する計221点の用具が、ガラスケースの中にずらりと並ぶ。浜田市金城町波佐の市金城民俗資料館で常設展示されている県指定有形民俗文化財の「波佐の山村生活用具」。伝統的な食生活を系統的に知ることができる貴重な資料として、1972年7月に指定された。

 住民有志でつくる「西中国山地民具を守る会」が約半世紀も前に、地域に呼び掛けて収集した。全国的にも希少な「にがり槽(ぶね)」は、木製で明治時代中期に製作され、豆腐製造の際に用いられた。槽の上に棒を2本渡し、塩を入れたかごを載せて放っておくと、自然ににがりがたまる仕組みだ。

 他にも、ご飯を保温するためのわら製の「飯(めし)ぶく」や、食器を干したり運んだりするかご「竹(たけ)めご」、徳利(とっくり)や舟皿、盃(さかずき)など、主に江戸時代末期から戦前にかけて使われていた用具が、当時の暮らしぶりを伝えている。展示品は全て、使用方法や材質、製作年代や寸法などの記録が、調査表にまとめられている。

 守る会の3代目の会長で、同館の館長も務める隅田正三さん(74)は「一般の庶民が使っていた道具だからこそ値打ちがある」と強調する。

2017年1月5日 無断転載禁止