女子ログ 海苔摘み

 数年前、義父の誘いで海苔(のり)摘みに参加した。冬、出雲市十六島町の岩場で採れる「十六島海苔」だ。普段は決まった生産者しか採れない海苔を、地元住民も手続きをすれば指定日に1時間限定で摘めるのだ。冬の海での作業は不安だったが、十六島に嫁いだからこその貴重な機会。自分で摘んだ特別な海苔で家族と正月を迎えたくて、行くことにした。

 朝7時すぎ、崖の上から足場の悪い道を100メートル下の岩場まで下りる。籠を背に軽やかに進むおばあちゃんたちに何とかついていくこと30分。着いた岩場は、つややかな黒いじゅうたんを敷き詰めたようだった。

 午前8時、笛の音で一斉にしゃがむ。岩に片膝をつけた瞬間、ついっと滑った。落ちたら氷風呂だ。波に足元を洗われながら、指で巻き取るように海苔を摘む。厚手のナイロン手袋の中は、すぐに感覚がなくなった。1時間で両手にこんもり載るほどの海苔が採れた。でも手袋は破れ、右手親指の爪がざっくり削れていた。

 帰宅後、痛む指先を湯船で見ながら、海苔を生業とする人たちのたくましさを思った。雑煮に入れた十六島海苔は香気高く、ほのかに甘い磯の味。この経験で家族や地域との距離が近くなり、うれしかった。あれから恒例となった海苔摘みだが、今回は風邪で無念の欠席。次の正月はまた自分で摘んだ海苔で家族を笑顔にしたい。

 (出雲市・こいちゃん)

2017年1月7日 無断転載禁止