女子ログ Sさんの年賀状

 年明け、届いた年賀状を仕分けていると、Sさんの名が目にとまりました。裏返すと、さまざまな鳥が正面を向いて立つイラスト。余白に「フクシマレポート書きたいけど、色々(いろいろ)ありすぎて。またメールアドレス教えて下さい」とありました。

 Sさんは社会人向け翻訳教室の受講生仲間です。第一印象は鮮烈でした。英語の発音が素晴らしく、訳文もそのまま小説のようにこなれていたからです。そして何か疑問があると、手擦れのした大きな英和辞典をすごい速さでめくる。彼女にとって翻訳が遊びでないのは一目で分かりました。

 Sさんの夫は全国紙の記者で、松江支局配属を機に教室に通うようになったとのこと。話を聞きつつ、もったいないな、彼女にも力を発揮できる場があればいいのに、とモヤモヤしました。お互いの子どもの年が近いせいもあったかもしれません。

 翌春、Sさん一家の転勤が決まりました。行き先は福島支局。ご主人自ら希望したそうです。自主避難も多い中、そこに家族で移り住む。深く深く考えた上での決断だと思います。私だったら言ってしまうかもしれない。「お父さんだけ行って」

 Sさん、お元気ですか。フクシマレポート、ぜひ聞かせてください。そして、今の経験が、あなたのプラスとなることを願っています。

 (出雲市・海苔蔵)

2017年1月14日 無断転載禁止