秋山英宏の全豪リポート 苦手な「一発」ある選手

ひらりと優雅にかわして

 ひところ「ビッグサーバーが苦手」が定説だった。時速200キロ超のサーブをドカンと入れてくる選手によく苦戦した。

 ただ、筆者に言わせれば、彼(錦織圭)が好まないのはサーブでも、ストロークでも、「一発」のある選手だ。

 通算5勝4敗のサム・クエリー、2015年に全米オープンと楽天オープンで連敗したブノワ・ペアなど、結果を恐れず思い切り腕を振る強打者、あるいは我が道を行くタイプの選手に、たった一発でリズムを乱され、戦術をなし崩しにされる。それが嫌なのではないか。

 アンドレイ・クズネツォフもそれに連なる。フラット系、すなわちネットやアウトのリスクのある直線的な球筋のストロークを躊躇(ちゅうちょ)なく打ってきた。

 「そんなにやりたい選手ではない。球足の速いコートでは気をつけないといけない」と警戒していた錦織だが、案の定というべきか、世界ランク45位に大苦戦の全豪初戦となった。

 初戦ならではの緊張感も影響しただろう。ただ、一発があるとは、言い換えれば「空振り」も多い、粗いプレーヤーであるということ。例えばロジャー・フェデラーなら、こういう選手を苦もなく料理してしまう。

 駆け引きにたけ、相手を空回りさせるのがうまい錦織なら、相手を見下ろし、その一発をひらりとかわす優雅さも見せてほしかった。



 テニスライターの秋山英宏さんがメルボルンから随時リポートする。

2017年1月18日 無断転載禁止