映画プロデューサーのささやかな日常(45)

映画『一週間フレンズ。』。いよいよ2月公開です
 2017年の映画界を占う

   コミック原作の実写化が柱


 あけましておめでとうございます。昨年も「泰然自虐」にお付き合いいただき、ありがとうございました。2013年の4月から連載が始まって、あっという間に4年近くになりました。今年も映画プロデューサーとして皆さまに楽しんで読んでいただけるよう、現場のリアルな情報やトピックをお届けできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 昨年の映画界は『君の名は。』『シン・ゴジラ』など、日本ならではのアニメや特撮、CG技術を駆使した作品が大ヒットとなりました。『シン・ゴジラ』の、最新のCGと特撮技術でよみがえったゴジラは圧巻の迫力でしたし、緻密に描き込まれたリアリティーと緊迫感ある官邸の人間ドラマに2時間があっという間に感じるほどに引き込まれました。

 一方で、昭和64年の架空の事件をモチーフにした社会派サスペンス『64』、殺人事件に巻き込まれた人々のドラマ『怒り』や、大ヒットした『永遠の0』のキャストスタッフが再集結した『海賊とよばれた男』などは見応えはあったものの、興行収入10億~20億円の幅にとどまり、大ヒットとはなりませんでした。やはり、ファミリーやカップルが連れ立って楽しめる娯楽作が今の時代には求められているように感じます。

 また、昨年末からは、当初は小規模公開であったもののロングランとなり、10億円を突破した『この世界の片隅に』が話題となっています。戦時下の広島・呉に住む1人の少女の目線で原爆と戦争という日常を描いた名作コミックをアニメ映画化した本作は、口コミが驚異的に広がり、多くの観客に愛されるようになりました。こうしたある意味、映画の作り手にとっては理想とも言うべき作品が登場したのは、本当に喜ばしいことです。

 ちなみに、僕の所属する松竹は昨年、おかげさまで歴代2位の興収成績を収めることができました。『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』『映画 聲(こえ)の形』『HIGH&LOW THE MOVIE』が20億円を超えたことが好成績に至った理由です。ここでも女性向けの作品やアニメが軸となりました。

 さて、今年の邦画界は『東京喰種(グール) トーキョーグール』『無限の住人』『銀魂』『ジョジョの奇妙な冒険』『鋼の錬金術師』など、アクションコミック原作の実写映画化作が映画興行の柱になりそうです。一方で、直木賞受賞作ヤクザコメディー『破門』や『一週間フレンズ。』『PとJK』、年末には『8年越しの花嫁』など、女性向け感動作も控えています。

 果たしてこれらの作品が原作ファンや映画ファンの期待を超える作品になりうるのか? 観客に愛され支持される1本となるのか? それはおのおののクリエイターや出演者の思い、がんばりにかかっています。僕も同じ製作者として全力を尽くしますし、応援したいし期待しています。今年も忘れられない1本との出合いがありますよう、たくさんの映画を映画館でご覧いただければ幸いです。

 (松竹映像本部・映画プロデューサー、米子市出身)

2017年1月20日 無断転載禁止